札幌障害年金相談センターで「障害年金」のサポートをさせて頂く中で、医学用語を掲載するようにしています。皆さまの少しでもお役に立てれば幸甚です。
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アスペルガー症候群・ 自閉症スペクトラム症(ASD) とは
「アスペルガー症候群」は、自閉症にみられる特徴(社会性発達の質的障害、興味や活動の偏りなど)を共通の類似点として持っています。自閉症では知的障害や言語発達に遅れを伴うことがありますが、「アスペルガー症候群」ではそれらはありません。
知的レベルが正常であり、言葉の発達に遅れはないことなどから、一見すると「ちょっと変わった人」程度に認識されることもあります。しかし、「アスペルガー症候群」の方が社会生活を送る際に困難さを伴う点においては自閉症と相違はなく、治療や支援を行うことはとても大切です。
「アスペルガー症候群」と自閉症には重複する部分も多く、近年は「自閉スペクトラム症」として1つの疾患概念に含めて考えられるようになってきています。アメリカ精神医学会による最新診断マニュアル(DSM-5)では、「アスペルガー症候群」と「自閉症」の診断名は削除され、「自閉スペクトラム症」に統一されました。
引用元: アスペルガー症候群
「自閉症スペクトラム症(ASD)」の傾向性
「自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断される傾向の方は、次の条件を満たす必要があります。
1,同じ行動パターンへのこだわりがある。
ご自分にとって関心があるものへのこだわり、とそれ以外への無関心は、下記(1)~(4)に共通している。
(1)常同運動
(2)同じ行動や思考への執着
(3)限局された対象への強い関心
(4)感覚過敏または鈍感さ
(1)~(2)のうちの二つ以上の症状があること。
※行動中に邪魔される、想定外のことがおきると強いストレスを感じる、落ち着かなくなる。
2,コミュニケーションや社会性に障害がある。
⇒同じ行動パターンへの執着がみられたとしても、コミュニケーションや社会性が困っていないようなケースだと、「常同運動障害」と診断されるか、「グレーゾーン」と判定されることになります。
1, 同じ行動パターンへのこだわり
(1)常同運動
常同運動とは、同じ行動パターンを繰り返すもので、単純な身体的行動を繰り返すことです。
例としては、
・部屋をぐるぐる歩き回る
・指を繰り返し鳴らす
・椅子を揺らす
癖と表現しても良い程度のものから、緊張したときにだけ同じ行動パターンを繰り返すこともある。これらは「紛らわし行動」として気持ちを落ち着かせるための行動である場合もある。但し、自傷行為を繰り返すケースもあるのでその際は注意が必要です。
ストレスや孤立といった環境要因が、症状悪化となり得るの医学的にも分かっているようです。
(2) 同じ行動や思考への執着
常同運動のような単なる行動パターンだけでなく、更に考え方に柔軟性がなかったり、同じ考えや視点にとらわれるパターンです。
例として、
・レストランやカフェで、決まった席に座り、同じメニューを注文しないと調子が悪いと感じる
・日常生活の中で細かい点まで決まった習慣を毎日繰り返す
・形式的な挨拶を非常に丁寧に繰り返す
・一つの主義主張や思想に頑なにとらわれる傾向がある
・発言の場で、自分の発言に誤った点があっても考え方を変えられない
・規則やルールを守ることへのこだわり
・自分のスタイルや価値観を配偶者や家族に対して押し付ける
・正義感が強すぎる
躁うつ病とは診断されなくても、頑張っているときと、行き詰っているときがある傾向がある。
(3) 限局された対象への強い関心 ・特定の対象への強い執着
(1)同じ行動パターンに繰り返すのとは違い、「細部にこだわる」「限定された領域への強い関心」を払うように、他の人が関心を払わないような細かな違いを重視したりするタイプ。
こだわる部分には注意を払うが、それ以外は無関心で、まったく目を向けないのが特徴。
(2)特定の部分で秀でた才能として開花するケースをある面と、障害の兆候としての特性をどう区別するのか。両者は基本区別されない。メリットとデメリットは常に表裏の関係でもあるからです。
(3)発達検査で「言語理解」と「知覚統合(知覚推理)」を比較して、「知覚統合(知覚推理)」が低い傾向と「注意の切り替え」が困難な傾向にある。
言葉で考える傾向が強く、また全体よりも部分に注意がいってしまう傾向がある。
(4) 感覚過敏または鈍感さ
自閉症スペクトラム症の感覚過敏は、ある面では過敏(自分が関心があることには過剰反応するなど)ですが、他の面では鈍感(相手がどう思っているかまでには気が回らないなど)だったりする。
医学的概念ではないですが、HSP(Hoghly Sensitive Person)が広く知られるようになってきました。この感覚が過敏であることだけでは、自閉症スペクトラム症や、その他の発達障害、精神疾患とも診断されることはなく、グレーゾーンと判定される可能性があります。
感覚過敏の種類
ⅰ)心理社会的過敏さ・・・周りの人の顔色に敏感
「自閉症スペクトラム症の感覚過敏」と「不安型愛着スタイルの過敏」の違い
「自閉症スペクトラム症の感覚過敏」は、過敏なことだけでなく、鈍感な(周りの人たちがどのように考えているかに気が回らない面がある)ところも併存している。
「不安型愛着スタイルの過敏」では、周囲の空気を読みすぎる、相手の気持ちを汲み取り過ぎで疲労がたまりやすい。また、周囲を優先してしまう傾向にあるので、自分(の気持ちを含む)のことを後回しするので損な立ち回りとなってしまう傾向にある。
ⅱ)神経学的過敏さ・・・感覚過敏
感覚過敏の例
①視覚の感覚過敏の例
・太陽光、照明が、あまりにも眩しく感じ過ぎる。痛みを伴うケースもある。
・スマートフォンやパソコンの明かりを強く感じる。目の疲労や痛みを伴うケースもある。
・白い紙を見ると目がチカチカする。書いてある文字が読みづらい。
・視覚からの情報が多いと混乱する、場合によっては体調を崩すケースもある。
②聴覚の感覚過敏の例
・人の会話や人が立てる音に対し、過剰に反応し疲弊するケースがある。
・雑音に敏感で、集中が途切れてしまう。
・掃除機・冷蔵庫などの家電や時計の音などが気になってしまい、耐えられない。
・電車や車などが走行する音、工事中の音に激しい苦痛を感じる。
・予期していなかった音などで、不安やパニックになるケースがある。
③触覚の感覚過敏の例
・特定の衣服(素材)の肌触りが苦手で、その素材の服を着れない。
・衣服のタグや縫い目が気になる、苦痛に感じる。
・肌が濡れたり、汚れることを極端に嫌う。
・他人から触られることに強い抵抗感を感じる。
④嗅覚の感覚過敏の例
・タバコ、化粧品、インク等の匂いで体調が悪くなる。
・動物園、化粧品売り場、商品売り場などの匂いが苦手な場所があり、そこ居ることが耐えられない。
・他人は全然気づかないような匂いにも気づく。
⑤味覚の感覚過敏の例
・特定の味覚や食感へのこだわりがあり、特定の味を嫌うケースもある。
・ネバネバや、サクサクしているものなど、特定の食感を苦手である。
2,社会的コミュニケーション障害
「社会的コミュニケーション障害」とは、会話のやり取りや非言語的サインや周囲の状況から意図や気持ちを読み取る、情報を共有することがスムーズにできない状態のことを指します。
自閉症スペクトラム障害は、先に述べた通り、「 1,同じ行動パターンへのこだわりがある」と 「2,社会的コミュニケーション障害」 があって始めて診断されるもので、片方だけの場合、グレーゾーンと判定されているようです。
とはいえ、今後は、この「社会的コミュニケーション障害」のみで発達障害としてみなされる可能性があるそうです。
「自閉症スペクトラム症のコミュニケーション障害」と「コミュニケーション障害」の違い
その為、「自閉症スペクトラム症のコミュニケーション障害」と「コミュニケーション障害」の定義は厳密には異なります。
(1)「自閉症スペクトラム症のコミュニケーション障害」とは
その場にふさわしい会話をすることが困難なだけでなく、人と関心や気持ちを共有することや、人に近づいていって、人と関わりをもつこと自体が困難であることも含まれます。
(2)「コミュニケーション障害」とは
あくまでもコミュニケーション上の能力、スキルに障害があること。
それなりに友人・知人と交流したり、意気投合したりするけど、どこかしら言葉遣いや話し方、ものの言い方が適切でない、微妙なニュアンスを伝えることができない場合などが該当します。
「自閉症スペクトラム症」の社会的コミュニケーション障害の基準とは
「自閉症スペクトラム症」の社会的コミュニケーションには3つの基準があり、「自閉症スペクトラム症」と診断されるにはこの3つの基準を満たす必要がある。
(1)相互の対人的、情緒的関係の欠落
自分から話しかけれない。雑談が苦手。相手のタイミングに合わせて話しかけることができない。一方的に話しをするけど、相手の話はスルーする。
この相互の対人的、情緒的関係の欠落は、表面的なコミュニケーション力によって見えないケースがあるので注意が必要です。
(2)非言語コミュニケーションの障害
言葉ではなく、表情やアイコンタクト、身振り、手振り、声の抑揚などが乏しい、不自然だったりす。
相手が嫌な顔をしても、気づかずに話し続けるなど。
★人と目を合わさない、アイコンタクトが乏しいのが、非言語的コミュニケーションの障害の特徴。
(3)社会的スキルの障害
社会的スキルの障害は、その場にふさわしい言動が行えない、相手の立場や気持ちに配慮できないような言動に現れる。こだわり症で、自分のルールや思いへのこだわりが強いため、対人コミュニケーションが困難にしてしまっていることが多い。
⇒ 社会的相互性や非言語コミュニケーションにあまり問題がない場合は、「自閉症スペクトラム症」のグレーゾーンと判定される傾向にあるようです。
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