皆さん、こんにちは。札幌障害年金相談センターです。
知的障害の方やそのご家族の皆さん、障害年金のことで悩んでいませんか?
私たちのセンターでは、たくさんの方から障害年金についての相談を受けています。その中でも、知的障害のある方からの相談がとても多いんです。そこで、今までの経験をもとに、障害年金の申請のポイントをまとめてみました。
これを読んで、少しでも皆さんのお役に立てたら嬉しいです。もし、まだ分からないことがあったり、もっと詳しく聞きたいことがあったりしたら、遠慮なく私たちに聞いてくださいね。いつでも皆さんの相談に乗る準備ができています。一緒に、障害年金の申請を頑張りましょう!
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「知的障害」と「発達障害」の違いとは?特徴と注意点を徹底解説!
私たちの周りの方々は、「知的障害」と「発達障害」の特徴について知らない方が多いかもしれません。
「知的障害(医学的には知的発達症と呼ばれています)」は、子どもの発達期に見られる知的な発達の遅れによって、日々の社会生活を送ることが難しくなっている状態を指します。
「知的障害」の場合は、18歳未満に出現し、平均以下の知的機能(日常生活を送るうえで必要な能力)、概念的(読み書き、金銭、時間、数の概念など)、社会的(コミュニケーションスキルなど)および実用的な領域における適応行動の不全によって特徴付けられます。
⇒ 詳しくは、こちらをご覧下さい。
これに対して、「発達障害」は生まれつき脳の働きの発達が一部偏っているために、毎日の生活の中でさまざまな困難が生じている状態のことを言います。
このように「知的障害」と「発達障害」とは異なる特徴を持っていますが、障害年金受給の手続きの際にも「知的障害」と「発達障害」とでは「初診日」について異なる扱い方をしますので注意が必要です。
「知的障害」の障害年金受給の要件とは
「知的障害」の方の障害年金を受給する為の要件が、他の障害に比べると簡素化されており異なっていますので、障害年金の手続きをする際はご注意下さい。
1,一般的な障害年金の受給要件
まず一般的な障害年金の受給要件を紹介します。
障害年金受給の為の要件は、以下の3つを満たす必要があります。
(1)「初診日要件」
(2)「保険料納付要件」
(3)「障害認定日要件」
まず1つ目は「初診日要件」です。年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金)に加入中に、障害の原因となった病気やケガについて医師の診察を受けていることが必要です。この最初の診察日を「初診日」と呼び、これによって受給資格や給付額が決定されます。
2つ目は「保険料納付要件」です。初診日の前々月までの加入期間の3分の2以上において、保険料を納付しているか、免除を受けているかのいずれかであることが求められます。ただし、令和8年3月31日以前の初診日の場合は、初診日前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすことなっています。
3つ目は「障害認定日要件」です。障害認定日(初診日から1年6か月後、または症状固定日)において、一定以上の障害状態にあることが必要です。なお、認定日に該当しなくても、65歳の誕生日の前々日までに症状が悪化して該当すれば、事後重症請求により受給が可能です。
これらの要件をすべて満たすことで、障害年金の受給資格が得られます。適切な時期での申請と必要な手続きの実施が重要です。⇒ 更に詳しく知りたい方は、こちらをクリック
2,「知的障害」の障害年金受給要件とは
「知的障害」の場合、例え成人後に初めて診察を受けたとしても、初診日は誕生日となります。つまり、どの年金制度にも加入をしていない為、保険料納付要件も当然満たせるはずもありません。
つまり「知的障害」の障害年金受給要件は、「障害認定日要件」だけを満たせば良いのです。知的障害の程度が、障害年金を受給できる程度かどうかで障害年金を受給できるかどうかが決まります。
では、次に「知的障害」で障害年金を受給できる障害の程度についてみていきましょう。
「知的障害」の障害認定基準(抜粋)
(1)知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう。※IQによる区分表
(2)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
1級 | 食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 | 食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活における身辺の処理にも援助が必要なもの |
3級 | 労働が著しい制限を受けるもの |
(3)知的障害(精神遅滞)の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。
(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮の上、【削除】社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
引用元:知的障害の障害認定基準
ここで注意が必要なのが、「知的障害者」が利用できる障害年金制度は障害基礎年金である為、障害等級2級以上であければ障害年金が受給できないということです。
その為、どのように日常生活を過ごしているか、どのような場面で困るっているのか、苦手なのか、出来ないのか等を出来るだけ詳しく把握していることが必要ということです。そのことが障害年金を申請する際の書類を作成するのに必要となります。
では、次に障害年金を申請をする際にどのような書類が必要なのかを紹介します。
「障害年金」申請に必要な書類
知的障害の場合、「初診日」が成人後であったとしても利用できる障害年金制度は、国民年金の「障害基礎年金」です。「障害基礎年金」を請求するには『年金請求書』が必要です。
年金請求書
年金請求書の添付書類
「年金請求書」の他に必要な添付書類を紹介します。

下記の点を補足説明します。
1、「基礎年金番号通知書」
「基礎年金番号通知書」とは、年金手帳が廃止されて代わりに「基礎年金番号」がかかれた書面です。ですので、「基礎年金番号」が確認できれば良いので、「基礎年金番号通知書」が無くても、「年金手帳」があれば問題ありません。
2、「年金証書」
既に何かしら障害年金その他の年金を受け取っている場合は「年金証書」のコピーをご用意下さい。何も年金を受け取っていない場合は不要です。
10、「受診状況等証明書」
障害年金を請求する際に、「初診日」証明がとても重要ですが、知的障害に関しては「初診日」証明は特に不要です。
「障害年金」の申請ポイント
「知的障害」で「障害年金」を申請しようとする場合、下記の2つが申請ポイントとなります。
1,診断書の評価
(1)医療機関に作成して貰う診断書は、「障害年金」用の診断書になります。書式はこちら(一番下の方)です。
(2)この診断書は、「障害年金」自体の支給決定の有無のみならず、障害等級の決定に大きな影響があります。
(3)診断書のポイントは、日常生活能力の評価がより正しく評価を受けているかどうかです。
これは「正しく評価をしてくれて当たり前ですよ」と思われがちですが、当センターでお受けしている案件で「主治医の評価」と「ご本人及びご親族の評価」が一致しないことが多いことをお伝えさせて頂きます。
ご親族が同居されている場合は、ご親族の方から日常生活の状況をお伝えして頂く必要があるかもしれません。
2,病歴・就労状況等証明書の作成
(1)診断書は第三者である医療機関が作成しますが、「障害年金」を請求するご本人が、日常生活状況を訴える書類が 「病歴・就労状況等申立書」 です。ですので、この 「病歴・就労状況等申立書」 はご本人(又はご親族等)が作成することになります。
(2)この「病歴・就労状況等申立書」は、発症時から現在に至るまでの病歴などを記載する書類となっています。
(3) 「病歴・就労状況等申立書」 の作成ポイントは、主観的に記載しないことです。
例えば、「~辛かった」ことを表現したい場合、「どう辛かった」のか、それが「知的障害」の症状にどう関係があるのか等を第三者に理解できるように具体的に記載して下さい。
病歴が長い方に関しては、記憶が曖昧になっていることが多いので、ご親族等と確認しながら作成すると良いと思います。
(4)ご自身の行動の特徴を客観的に把握されている方もいらっしゃいますが、そのような方達ばかりではないので、ご親族と同居されていない場合でもご親族等の助力を得て作成されることをお勧め致します。
まとめ
以上が、簡単ですが「知的障害」で「障害年金」を申請するポイントとなります。もしご不明な点等がありましたらご遠慮なくお問合せ下さい。
最後読んで頂きまして大変にありがとうございました。
知的障害・精神遅滞で障害年金を申請した請求事例
知的障害と自閉症スペクトラムの20代の方が、就労しながらストレス治療を続ける中、障害年金2級の受給申請を行いました。札幌障害年金相談センターに相談し、ご両親と面談を経て生活状況を詳述した病歴就労等申立書を作成。診断書は家族が病院と連携して準備し、結果、認定日で2級の障害年金を受給しました。
軽度精神遅滞で障害年金2級を受給した20代男性の事例です。幼少期から肢体障害でリハビリを受けていた彼は、20歳で診断書を基に障害年金を申請するも不支給となり、再審査請求後に札幌障害年金相談センターに相談しました。診断書や申立書が肢体障害に偏っていたため、精神に関する聞き取りと申立書の整理を行い、再度申請した結果、2級の障害基礎年金を受給しました。
軽度精神遅滞の20代の方が障害年金2級を受給した事例です。幼少期から不器用で友達作りが苦手で、小中学校を普通学級で過ごしましたが、高校では勉強に苦労し、特別学級に転入。その後、就労支援施設に通所し、日常生活の不自由さから札幌障害年金相談センターに相談しました。面談で日常生活やエピソードを詳細に聞き取り、診断書を正確に作成し再申請した結果、認定日で障害基礎年金2級を受給しました。
50代男性が障害年金制度を知らず、NPO団体の紹介で申請を決意しました。家族の支援がない中、相談員の協力で幼少期の生活状況を聞き取り、診察に同席して生活の困難さを伝えました。療育手帳がなかったため現時点からの受給となり、結果、軽度精神遅滞・軽度知的障害で(事後重症で)障害基礎年金2級を受給できました。
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