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- 1 今回は、「境界知能」について
- 1.1 1,境界知能の基礎知識
- 1.2 2,境界知能者の就労支援と職業選択|実践的な支援方法を解説
- 1.3 3,境界知能に関する福祉サービス完全ガイド|支援制度から申請方法まで
- 1.4 「障害年金」受給の可能性は?
- 1.5 境界知能・グレーゾーンの意味合いの違い
- 1.6 IQを調べる知能検査とは
- 1.7 WISC-IV知能検査の内容
- 1.8 知的障害?それとも発達障害?
- 1.9 【障害年金】の審査における知能指数は重要か?
- 1.10 まとめ
- 1.11 《問合せ》は
今回は、「境界知能」について
「境界知能」とか「グレーゾーン」という言葉は、インターネットで目に触れる機会が多くなったというのが実感です。
そこで、今回は「境界知能」についてです。この「境界知能」の「境界」という単語から人によっては色々とイメージをされるかもしれませんが、実際「境界知能」がどのようなものなのかを確認していきたいと思います。

1,境界知能の基礎知識
(1)境界知能とは?定義から特徴まで完全解説
子どもの発達や学習に不安を感じている方、または日常生活でさまざまな困難を感じている方へ向けて、境界知能について詳しく解説します。この記事では、境界知能の基本的な定義から具体的な支援方法まで、実践的な情報をお伝えします。
境界知能を理解することの重要性
境界知能について正しく理解することは、お子様や家族の支援を考える上で非常に重要です。なぜなら、適切な理解があってこそ、具体的な支援や必要なサービスを見つけることができるからです。また、早期からの適切な支援により、お子様の可能性を最大限に引き出すことができます。
境界知能の定義・特徴と基準値を徹底解説
一般的に「境界知能」「知的障害グレーゾーン」、そして「グレーゾーン」と言われるくくりがあります。はっきりと知的障害の診断まではつかないものの、IQは正常域でもなく、さまざまな困難さを抱える人たちのことをイメージを持たれる方が多いではないでしょうか。
そのイメージとは異なり、「境界知能」「グレーゾーン」の困難さは、単にIQが「境界ライン」辺りにあることが原因ではないことが最近分かって来たようです。
例えば、「境界性パーソナリティ障害」は、かつては「精神病」と「神経症」の境界にある状態と考えられ、その為、「境界」という言葉が使われていました。ところが、「精神病」と「神経症」とは異なる性質をもつ全く別の障害であり、「愛着障害」や「複雑性トラウマ」によるものだと解りました。
(1)日常生活では、以下のような場面で困難を感じることがあります。
日常生活での困難さ①:学校生活での課題
- 授業の進度についていくことが難しい
- 宿題や課題の取り組みに時間がかかる
- 友人関係の形成に苦労することがある
日常生活での困難さ②:家庭生活での課題
- 時間管理が苦手
- 身の回りの整理整頓が難しい
- 急な予定変更への対応が困難
日常生活での困難さ③:効果的な支援方法
- 具体的でわかりやすい指示を心がける
- 一つずつ順を追って説明する
- 視覚的な手がかりを活用する
- 成功体験を積み重ねる機会を作る
(2)境界知能、グレーゾーンの方に見られる特徴を列記してみます。
①基本的な特徴
- 抽象的な概念の理解が苦手
- 学習の定着に時間がかかる
- 複雑な指示の理解が難しい
②認知面での特徴
- 一度に多くの情報を処理することが困難
- 因果関係の理解に時間がかかる
- 文章問題や応用問題が苦手
このグレーゾーンは、知的障害の定義の変遷から見ていくのが最も理解しやすいでしょう。現在の知的障害の定義では、おおよそIQ70未満で社会性に障害があることとなっています。この定義であれば、およそ2%の人が知的障害に該当することになります。
しかし、ひと昔前のWHO(世界保健機関)によるICD(国際疾病分類)第8版(ICD-8:1965~1974年)では、IQ70~84までが境界線精神遅滞といった定義がなされていました。
「精神遅滞」は、いまで言う「知的障害」のことです。つまり現在の「グレーゾーン」は、かつて「知的障害に含まれていた」ことになります。これは実に、人口の約14%(日本では約1700万人)に相当するのです。つまり、およそ7人に1人がこのグレーゾーンであるということになるのです。
境界知能と発達障害の関係性
境界知能と発達障害は異なる特性ですが、以下のような関連があります。
①境界知能と発達障害の関係性 :主な違い
- 境界知能:全般的な知的能力に関する特性
- 発達障害:特定の能力における著しい困難さ
②境界知能と発達障害の関係性 :支援の考え方
- 個々の特性に応じた個別の支援計画が必要
- 得意分野を活かした支援アプローチ
- 環境調整による困難さの軽減
③ 境界知能と発達障害の関係性 :支援サービスの活用
- 教育支援や福祉サービスの利用
- 専門機関での相談や支援
- 就労支援サービスの活用
具体的な支援と相談先
①教育面での支援
- 特別支援教育の利用検討
- 学習支援員の活用
- 個別の教育支援計画の作成
②生活面での支援
- 福祉サービスの利用
- 放課後等デイサービスの活用
- ペアレントトレーニングへの参加
③相談機関の活用
- 教育相談センター
- 発達支援センター
- 医療機関での専門相談
2,境界知能者の就労支援と職業選択|実践的な支援方法を解説
境界知能の人の就労における課題
境界知能の方の就労支援において最も重要なのは、その人の特性に合った職場環境と仕事内容を見つけることです。適切な支援があれば、多くの方が安定した職業生活を送ることができます。また、早期からの就労支援により、職場での適応がスムーズになることが分かっています。本記事では、具体的な支援方法と活用できる制度について詳しく解説します。
境界知能の人の就労支援について
①向いている仕事の特徴
一般的に向いていると言われている仕事の特徴を紹介します。
ⅰ)手順が明確で決まっている作業(例:食品製造ラインでの検品作業、商品の在庫管理や棚卸し作業、文書のデータ入力業務、部品の組立作業、クリーニング店での洗濯物の仕分け作業)
ⅱ)一つずつ順番に進められる業務(例:スーパーマーケットでの商品陳列、図書館での本の整理・返却作業、郵便物の区分け作業、ホテルでのベッドメイキング、農作物の収穫・選別作業)
ⅲ)急な変更が少ない職場環境(例:倉庫での商品管理業務、印刷工場でのライン作業、製造工場での品質管理、食品工場での包装作業、事務所での定型的な書類整理)
ⅳ)具体的な目標設定が可能な仕事(例:コンビニエンスストアでの商品補充、清掃会社での建物清掃、公園や施設での植栽管理、介護施設でのリネン交換工場での生産数管理)
ⅴ)反復作業が中心の業務(例:包装・梱包作業、自動車部品の組立、野菜や果物の選別作業、洗車作業、製品の検査作業)
ⅵ)作業手順が視覚化されている職場(例:ファストフード店のキッチン業務、コンビニエンスストアのバックヤード作業、物流センターでのピッキング作業、製造ラインでの組立作業、食品加工工場での作業)
ⅶ)チームでの協力体制がある環境(例:スーパーマーケットのバックヤード、介護施設での補助業務、清掃チームでの建物管理、工場での製造ライン作業、倉庫での荷物の仕分け作業)
②就労時の重要ポイント
一般的に就労時に重要と言われているポイントを紹介します。
ⅰ)具体的な作業手順の提示(例:写真付きの手順書の作成、作業工程をステップ番号で表示、チェックリストの活用、作業時間の開始時間と終了時間の明記、必要な道具や材料のリスト化、作業の注意点を色分けして表示、完成品のサンプル写真の掲示)
ⅱ)視覚的な指示の活用(例:カラーコードによる分類表示、作業場所のゾーニング(色テープで区分)、ピクトグラムの活用、作業手順のフローチャート、タイムスケジュールの視覚化、作業量を数値やグラフで表示、重要度を色分けして表示)
ⅲ)定期的な確認と支援(例:1日3回の定期面談、作業開始時のミーティング、終業時の振り返り、チェックリストによる自己確認、上司による定期的な巡回、支援担当者との週1回の面談、月1回の目標確認会議)
ⅳ)業務の優先順位の明確化(例:作業の重要度を3段階で表示、タイムスケジュールの作成、緊急性の高い業務の明示、TO-DOリストの活用、優先順位の変更時の明確な指示、日次・週次の業務計画表、担当業務の範囲を明確化)
ⅴ)休憩時間の適切な設定(例:2時間に1回の小休憩、休憩時間の開始・終了を視覚的に表示、休憩室の利用ルールの明確化、休憩時のリフレッシュ方法の提案、疲労度に応じた休憩取得、休憩時間の過ごし方のアドバイス、休憩時間管理のタイマー活用)
ⅵ)作業環境の構造化(例:作業スペースの明確な区分け、道具の定位置の設定、不要な刺激の削減、作業に必要な物の配置の工夫、動線の明確化、照明や音環境の調整、個人スペースの確保)
ⅶ)コミュニケーション支援の実施(例:伝達事項の文書化、報告・連絡のフォーマット作成、メンター制度の活用、定期的な面談機会の設定、コミュニケーションカードの活用、非言語コミュニケーションの補助、SNSや社内チャットの活用)
③就労準備に必要な支援
ⅰ)基本的な労働習慣の形成(例:決まった時間に起床・就寝する練習、身だしなみを整える習慣づけ、定時出勤の習慣化、休憩時間の適切な活用方法、挨拶や報告の定着、整理整頓の習慣化、体調管理の方法習得)
ⅱ)コミュニケーションスキルの向上(例:基本的な挨拶の練習、報告・連絡・相談の方法、電話応対の基本、指示の受け方と確認方法、困ったときの相談の仕方、メモの取り方、非言語コミュニケーションの理解)
ⅲ)ストレス管理の方法習得(例:ストレスサインの気づき方、リラックス方法の習得、休憩時間の過ごし方、相談できる人の確認、気分転換の方法、睡眠の取り方、運動習慣の形成)
ⅳ)通勤訓練の実施(例:通勤経路の確認と練習、交通機関の利用方法、定期券の購入方法、遅延時の対応方法、緊急時の連絡方法、天候変化への対応通勤時の持ち物確認)
ⅴ)職場でのルール理解(例:就業規則の基本、職場の服装規定、出退勤の手続き、休暇の取り方、安全衛生ルール、職場での禁止事項、緊急時の対応方法)
ⅵ)時間管理スキルの習得(例:スケジュール表の作成方法、タイマーの活用、優先順位の付け方、作業時間の見積もり方、余裕を持った行動計画、定期的な時間確認、スケジュール調整の方法)
ⅶ)金銭管理の基本習得(例:給与の仕組みの理解、銀行口座の管理、家計簿の付け方、支出の計画的管理、税金や社会保険の基礎知識、必要経費の計算方法、貯金の習慣化)
境界知能者の就労と支援制度
①活用できる就労に関する支援制度
ⅰ)障害者職業センターでの相談
【説明】:職業評価、職業指導、職業準備支援などを行う国の機関
【運営】:北海道障害者職業センター /【管轄】:札幌、札幌東、札幌北、江別、千歳、小樽、余市、岩内、倶知安、苫小牧、伊達、室蘭、岩見沢、夕張、浦河、函館、八雲、江差、帯広、池田、静内、釧路、根室、中標津
【運営】:北海道障害者職業センター旭川支所 /【管轄】:旭川、富良野、士別、名寄、砂川、滝川、深川、留萌、稚内、北見、網走、美幌、遠軽、紋別
ⅱ)ジョブコーチ支援
【説明】:職場に適応する際に課題がある場合、職場にジョブコーチ(職場適応援助者)が行って等して、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、職場適応を支援する制度。
・配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに配置されるジョブコーチ
・訪問型ジョブコーチ:障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用されるジョブコーチ
・企業在籍型ジョブコーチ:障害者を直接雇用している企業に雇用されているジョブコーチ
ⅲ)トライアル雇用制度
【説明】:最長3ヶ月の試行雇用期間を設けて事業所に雇用して貰い、正規採用をして貰う制度 職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3か月間試行雇用することで、その働きぶり等当から適性や能力を見定めることで雇用契約(無期契約)の切っ掛けとする制度。労使のミスマッチを防ぐ一助になっている。
【運営】:公共職業安定所。※事業所が求人票を出す際に、トライアル雇用も希望するかどうかを選択することができる。
ⅳ)職業訓練プログラム
【説明】:障害者職業能力開発校での一般就労を目指す職業訓練
【運営】:北海道職業能力開発校
ⅴ)就労移行支援事業所の活用
【説明】:一般枠または障害者枠での就職を希望する方が、就職に必要なスキルを身につけるためのトレーニングを受けられる。
ⅵ)障害者就業・生活支援センターの利用
【説明】障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、就業面だけでなく、生活面も支援することで一体的な支援を行い、結果として障害者の雇用の促進及び安定することを目的とした制度

②職場での配慮事項
- 作業手順の文書化
- 休憩時間の適切な設定
- 上司や同僚との定期面談
- 業務量の調整
- 作業環境の整備
- コミュニケーション方法の工夫
- ストレス軽減のための環境調整
境界知能者の職場定着支援
①定着支援の基本方針
- 段階的な業務の習得
- 成功体験の積み重ね
- 職場内での理解促進
- 定期的な面談の実施
- 支援機関との連携継続
- キャリアプランの段階的な設定
- モチベーション維持のための工夫
②具体的な定着支援策
- 業務マニュアルの作成と活用
- チェックリストの導入
- メンター制度の活用
- 定期的な振り返りミーティング
- スキルアップ研修の実施
- 職場内での相談体制の整備
- 家族との連携体制の構築
③長期的な支援のポイント
- 定期的な目標の見直し
- スキルアップの機会提供
- 職場内での役割の段階的拡大
- 新しい業務への段階的な挑戦
- キャリアパスの明確化
- ライフプランを考慮した支援
- 生活面での自立支援
就労支援機関では、個々の特性に応じた職業評価を行い、適切な職種選択のサポートを行います。また、職場実習や職業訓練を通じて、実践的なスキルを身につけることができます。
職場定着のためには、本人の努力だけでなく、職場の理解と適切な配慮が重要です。就労支援機関のサポートを受けながら、段階的に職場への適応を進めていくことで、長期的な就労継続が可能となります。
早めの相談と支援の活用が、安定就労への第一歩となります。まずは、お近くの就労支援機関に相談してみることをお勧めします。専門家による適切な評価と支援計画の作成により、より効果的な就労支援が実現できます。
3,境界知能に関する福祉サービス完全ガイド|支援制度から申請方法まで
なぜ境界知能の福祉サービスを知る必要があるのか
境界知能の方やそのご家族にとって、利用可能な福祉サービスを知ることは、より充実した生活を送るために重要です。適切な支援を受けることで、学習面での遅れや就労の困難さ、日常生活での課題に対応することができます。
(1)境界知能者が利用できる福祉サービス
①障害福祉サービス
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 自立訓練(生活訓練)
- 計画相談支援
- 地域活動支援センター
②教育支援サービス
- 特別支援教育
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援
- 巡回相談支援
- 学習支援事業
③生活支援サービス
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 移動支援
- 日中一時支援
- 短期入所(ショートステイ)
- 地域生活支援事業
(2)境界知能者の経済的支援制度
①障害年金関連
- 障害基礎年金の申請要件
- 必要な診断書と書類
- 申請から認定までの流れ
- 年金額と支給時期
- 申請時の注意点
障害年金の詳細については、改めて後述する。
②各種手当
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 特別障害者手当
- 自立支援医療
- 重度心身障害者医療費助成
③税制優遇措置
- 所得税の障害者控除
- 住民税の軽減
- 自動車税の減免
- 医療費控除
- 各種公共料金の割引制度
(2)相談窓口の活用方法
①基本的な相談窓口
- 市区町村の福祉課
- 障害者基幹相談支援センター
- 発達障害者支援センター
- 特別支援教育センター
- 保健所・保健センター
②専門的な相談機関
- 医療機関の相談室
- 就労支援センター
- 児童相談所
- 教育相談センター
- 福祉事務所
③相談時の準備と進め方
- 困りごとの整理
- 必要書類の準備
- 相談記録の作成
- フォローアップの方法
- 支援計画の確認
(3)サービス利用の具体的な手順
①初期相談
- 市区町村の窓口に相談
- 基本情報の提供
- 利用可能なサービスの確認
- 必要書類の確認
②申請手続き
- 障害支援区分の認定申請
- 必要書類の準備と提出
- 認定調査の実施
- 医師意見書の取得
③サービス利用計画
- 計画相談支援事業所との契約
- アセスメントの実施
- サービス等利用計画の作成
- サービス担当者会議の開催
- サービス利用開始
④サービス利用開始
- 各事業所との契約
- 利用スケジュールの調整
- モニタリングの実施
- 定期的な見直し
「障害年金」受給の可能性は?
「障害年金」の受給の可能性について、以前ブログを掲載したことがあるので、参考資料として、<知能指数IQ>の結果で【障害年金】の受給の有無は決定するのか? を紹介させて頂きます。ご興味がある方は是非ご覧下さい。

境界知能、グレーンゾーンは、IQ70~84とされているので、上表の(軽度)IQ51~75の一部が重なっている。
とは言え、IQ70以上で知的障害と判定されなかったとしても、ご本人が生きづらさを感じていることは少なくありません。
それにも関わらず、知的障害ではないという理由で、健常者と同様に扱われることも少なくありません。確かにある部分では能力が高いこともあり、周囲から期待されることもあります。周りから期待されることは、幸せなことも、良いこともとも捉えることもできますが、逆に苦しんでいるケースも。
境界知能・グレーゾーンの意味合いの違い
幼児期、学童期と成人期で、各々「境界知能」「グレーゾーン」と言われる場合の意味合いが違っているの注意が必要です。
(1)幼児期、学童期のグレーゾーンの場合
知的障害なのか、そうでないかのか、まだどちらとも解らないというニュアンスがある。これは「障害ではないので安心して下さい」という趣旨ではありませんので注意が必要です。
お子さんがグレーゾーンと診断をされ、医師から「様子を見ましょう」と言われたので、何もしないで手をこまねいているケースもあるようですが、それは大きな誤解で、「これからの働きかけや取り組み方によって大きな違いが生まれるので、むしろしっかりとサポートをしていきながら様子をみていきましょう」という趣旨に受け止めた方のが正しいそうです。※ただ様子を見ているだけでは、課題を放置しているのと何ら変わりません。
例)重い自閉症と診断されたお子さんが、早い段階から集中的に療養を受けることで、健常と変わらない状態にまで回復することもあります。
逆に軽い自閉症のケースでも、適切な働き方やトレーニングによって、弱い部分を強みにできた例もあるそうです。
また違うケースでは、グレーゾーンを障害ではないと判断し、何の働きかけもせずにいたら、ある時期から急に深刻な問題として表面化する傾向にあります。
(2)成人期のグレーゾーンの場合
症状や特性が明確になっているものの、診断基準に達しない為に「境界知能」「グレーゾーン」と判定されている。
知的障害と診断されるのは、一般的にはIQ70未満の方(人口2.2%)です。
知的障害のグレーゾーンである「境界知能」とされる人は、IQ70以上85未満(80未満とするケースも有り)の人(人口10数%)です。
グレーゾーンとされる方々が、知的障害と診断される方々よりも多いことがわかります。これは該当者が多いだけでなく、様々なケースも存在することを意味します。
そのようなバリエーションは、個別具体的にその方の個性や特性を生かして生活をしていくためには、グレーゾーンという言葉でひとくくりにせずに、理解し対処していくことが必要です。
IQを調べる知能検査とは
知能検査の一つである「 WISC-IV (ウィスク・フォー)知能検査」の対象者は、5歳0カ月〜16歳11カ月の児童です。
※「 WISC-IV知能検査」は、世界各地でも使用されている児童用の知能検査のようです。
WISC-IV知能検査の内容
「WISC-IV (ウィスク・フォー) 知能検査」は、15の検査「10種類の基本下位検査」、「5種類の補助下位検査(必要があれば行う検査)」で構成されています。
全検査IQ(FSIQ)
全体的な認知能力を表す項目です。補助検査を除いた10種類の基本下位検査の合計から算出されます。
4つの指標得点M
1,言語理解指標(VCI)
言語理解指標(VCI) とは、言語による理解力・推理力・思考力について指標です。
2,知覚推理指標(PRI)
知覚推理指標(PRI) とは、言語を介さない視覚的な情報に触れて推理する力や、視覚的情報に応じて身体を動かす力についての指標です。
図形や地図を理解する、パズルを組み合わせ、単に視覚的な情報処理の能力というだけでなく、視覚的な情報と意味の規則性を見出す能力に関係している。例としてはシンボルやパターンから意味や規則性を読み取る能力。
更には目の前にないものをイメージ化する、図式化する、それよって推論や思考を理解し、答えを導きだす能力とも密接な関係がある。例としては、関数や微分積分などのような数学の理解に不可欠な能力。知覚推理指標 (PRI) の能力を活かす最たるものとしては理論物理学で、実験では確かめられないような現象を、イマジネーション能力で理論を組み立ててしまう。
知覚推理(知覚統合)指標 (PRI) が低いと、図形問題、物理、数学が苦手となりやすい。それだけでなく、場の状況や暗黙の意味に気付きにくく、語られない相手の意図( 相手の出した身振りや手振りといったサイン など)を察すことや、状況判断が難しくなる。
また、全体の中の細かい一つ一つにとらわれ過ぎてしまい、全体像が見えてこず、客観的に俯瞰(ふかん)することが難しい。それは、自分の不満や嘆きにとらわれてしまい、その背景にある問題に気づくことが難しいことも意味している(問題の本質が何であるかに気付けないので、同じ自分の不満や嘆きを繰り返してしまう傾向にある)。
状況を判断し、変化や未来を予測し、損害を避け、有利な選択をできる得るの能力とも表現できる。
知覚推理(知覚統合)指標 (PRI) が高いことで問題となるケース
客観視ばかりで、相手に対して共感することや関与することが少なかったり、いかにも他人ごとだというあからさま態度をとったり、分析はしてくれるが、自分のことは自己責任でやってくれと突き放す態度をとったり、優しが欠けると思われる態度をとったりする。
どんなに知覚推理(知覚統合)指標が高くても、社会性、共感性が弱いと、対人関係やコミュニケーションは円滑にはいかない。
知覚推理(知覚統合)指標 (PRI) が低くことで問題となるケース
知覚推理(知覚統合)に問題がある場合の出方には、次の二つのタイプがある。
1)知覚推理(知覚統合)の低下と共感性の低下
2)知覚推理(知覚統合)が低いが、共感性に問題がない
1)知覚推理(知覚統合)の低下と共感性の低下
代表例として自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向をもつ場合です。
図形や数学、物理、工作が苦手なだけでなく、状況判断や場の空気を読んだりするのが苦手。
2)知覚推理(知覚統合)が低いが、共感性に問題がない
図形や数学、物理、工作が苦手、ものごとを感情的にとらえすぎるため客観視が苦手ではあるが、場の空気を読んだり、相手の表情から気持ちを察すことができる。言語処理や聴覚性のワーキングメモリが優れている。
3,ワーキングメモリー指標(WMI)
ワーキングメモリー指標(WMI) とは、一時的な情報を用いながら処理する能力についての指標です。読み書き、算数などの学習能力や、集中力に大きく影響があることが指摘される。
4,処理速度指標(PSI)
処理速度指標(PSI) とは、視覚情報に対応できるスピードに関する指標です。どうしてもマイペースになる傾向にある場合はこの指標得点が低くなります。
処理速度指標(PSI) は、次の2つによって判定がされます。
1)逐次(ちくじ)処理課題
注意の維持に関係が深い。
2)同時処理課題
注意の配分に関係が深い。
処理速度は、注意の維持や注意の配分の各々が弱くても低下することになる。
①注意欠陥・多動性障害(ADHD)の方は、特に注意の維持が低下しやすく、処理の早さ自体は速いけど、慣れて来ると集中力が切れやすく、ミスが増えてしまう傾向にあるようです。
②自閉スペクトラム症(ASD)の方は、注意の配分や切替が苦手で、丁寧になり過ぎたり、一つの課題に気を取られ過ぎてしまい、処理の速さがゆっくりになってしまう傾向にあるようです。
但し、「意思決定」「プランニング」「柔軟性」といった能力については反映がされない。その為、別検査をする必要がありますが、通常の検査では行われないことが多いようです。
その為、下記に実行機能のチェックリストを掲載します。
実行機能のチェックリスト
1)意思決定
・予定のない買い物をしてしまうことが多い
・その場の気分で行動する傾向にある。
2)プランニング
・計画的に行動するのは苦手
・よく説明書を読まずに、いきなり作業をしてしまう
3)柔軟性
・一度やりだすと変更するのが苦手
・同じ失敗を繰り返すことが多い
4)逐次処理課題
・飽きっぽい、何ごとも長続きしない
・根気のいることが苦手
5)同時処理課題
・瞬間的な判断が不得手
・二つのことを同時にやると、効率が落ちてしまう
→上記1)~5)のそれぞれで、二つの項目が該当すると「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」 が疑われます。
私達は、IQと言えば、「IQ104」などのように、「IQ〇〇」という数値の1つだけしかないと思い込んでいましたが、実はそうではないんですよね。
知的障害?それとも発達障害?
知的障害なのか、それとも発達障害かどうかを判断の仕方としては、
(1)全体的な指数(全検査IQ)が、平均と比較をし、平均より低いと「知的障害」があるかどうかが根拠となります。
(2)上記4つの群指数に偏りが強いと「発達障害」が疑われる根拠となります。
とはいえ、4つの群指数の偏りがあるからといって、それだけでは「発達障害」とは診断されるものではなく、「発達障害」かどうかの判断は、幼い頃から現在に至る症状や生活での支障の大きさによって最終的に判断されるようです。
このことは、発達検査では大きな偏りがみられるけど、発達障害と診断されないケースも可能性としてはあり、 このケースもグレーゾーンとされています。
もっと言うと、発達障害と診断されるような症状や生活ぶりを示していても、発達検査では、4つの群指数に偏りがないケースもあり得ます。
【障害年金】の審査における知能指数は重要か?
下図は、精神の障害用の診断書の裏面です。ご覧になって頂くと解ると思いますが、「カ 臨床検査(心理テスト・認知検査・知能障害の場合は、知能指数、精神年齢を含む。)」欄があり、知能検査については、この欄に記載することになっています。

障害認定基準では『知的障害の認定にあたっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断します。』となっています。
『知能指数のみに着眼することなく』とある通り、知能指数は、あくまでも一つの参考程度にするだけです。確かにそうですよ。知能指数だけで、日常生活状況を把握することなどできませんから・・・。
まとめ
「知能指数IQ」の数値だけで【障害年金】を受給できるかどうかは決定しません。あくまでも参考の一つとして扱います。
ですので、「軽度の知的障害」は【障害年金】対象にならない訳ではありませんので、申請を諦めるのではなく、障害認定基準を確認しながらご検討されるのが良いと思います。
最後までお読み頂きまして大変にありがとうございました。
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