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重症急性膵炎として
1. 重症急性膵炎とはどのような病気ですか
急性膵炎とは、食物の消化に必要な消化酵素(炭水化物を分解するアミラーゼ、たんぱ く質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなど)と血糖の調節に必要なホルモン(血糖を下げるインスリンと血糖を高くするグルカゴンなど)を分泌 する膵臓に、急激に炎症が起こり激烈な腹痛がおこる病気です。本来、食べ物を溶かす働きをする消化酵素が、膵臓自身を溶かしてしまう病気ともいえます。急 性膵炎の中には、膵臓が腫れるだけで容易に回復する比較的軽症のもの(浮腫性膵炎)から、膵臓や周囲に出血や壊死を起こし(壊死性膵炎)、急激に死に至る 重症例まで様々あり、その程度により軽症と重症とに分類されています。このうち、重症急性膵炎とは膵臓だけではなく、肺、腎臓、肝臓、消化管などの重要臓 器にも障害を起こしたり(多臓器不全)、重篤な感染症を合併する致命率の高い急性膵炎を指します。重症急性膵炎は、10%近くの方が亡くなられる重い病気 で、厚生労働省の特定疾患(いわゆる「難病」)に指定されています。
2. この病気の原因はわかっているのですか
2007年の全国調査では、急性膵炎の原因としては飲酒によるものが31.4%で最 も多く、第2位が胆石によるもので 24.4%、第3位が原因を特定できないもの(特発性)で16.7%でした。男性ではアルコール性が最も多く42.7%を、女性では胆石性が最も多く 35%を占めます。アルコールが急性膵炎をどのようにして起こすかは、まだよく解っていません。大酒家のうち、膵炎をおこす人は数%しかいませんので、体 質など、ほかに何らかの要因があると考えられます。
3. この病気ではどのような症状がおきますか
急性膵炎の最初の症状として最も多いのは、持続的で激しい上腹部痛で88.6%に認 められています。しかし、腹痛の程度は個人差が大きく、腹痛の程度と膵炎の重症度とは相関しません。稀ではありますが急性膵炎でも腹痛を訴えない無痛性急 性膵炎もあります。急性膵炎の最初の症状として嘔気・嘔吐(18.7%)、背部痛(11.1%)、発熱・悪寒(5.0%)、食欲不振(3.0%)などもみ られています。
4. 医療費の補助制度がありますか
(厚生労働省の)難病対策事業の一つとしての「特定疾患治療研究事業」、すなわち「医療費の公費負担制度」の以前は対象疾病です。重症急性膵炎はその対象疾患の一つです。重症急性膵炎と診断されますと、患者さんまたはその家族の方が「特定疾患医療費受給者証交 付申請書」と「住民票」、さらに担当医師が記載した「臨床調査個人票」を添えて患者さんが住んでおられる地域を管轄する保健所、あるいは県庁へ申請します (どちらへ申請するかは地域によって異なります)。承認されますと、原則として6か月間の医療保険の自己負担分を、国と都道府県とで折半して負担します。 しかし、申請後の医療費しか公費負担の対象になりませんので重症急性膵炎と診断されたら急いで手続きを行う必要があります。また差額ベット代などの費用に ついては対象外です。
6か月後の更新を申請出来るのは、1) 膵膿瘍(すいのうよう、膵臓に膿がたまっている)、2)膵周囲膿瘍、3)膵液ろう(膵液の漏れ)、4)腸ろう(人工肛門など)のいずれかに該当し、更新理 由が明記されている場合に限ります。消化吸収障害や糖尿病の治療目的などは更新理由に該当しません。
⇒2022年(令和4年)4月1日現在
「重症急性膵炎」は、「更新申請」のみが対象となっており、「新規申請」は受け付けていませんのでご注意下さい。
≪追加資料≫
北海道の特定疾病
北海道の特定疾病は下記の通りです。
国が定める5疾病
1)スモン
2)難治性肝炎のうち劇症肝炎(但し、「更新申請」が対象。「新規申請」は対象外)
3)重症急性膵炎(但し、「更新申請」が対象。「新規申請」は対象外)
4)プリオン病(但し、「更新申請」が対象。「新規申請」は対象外)
5)重症多形滲出性紅斑(急性期)重症多形
北海道が定める4疾病
1)突発性難聴
2)溶血性貧血
3)ステロイドホルモン産生異常症
4)難治性肝炎