概要
乾癬(かんせん)とは、皮膚科では炎症性角化症に分類され、皮膚の角化・肥厚ひこうとともに炎症が生じる病気です。
患部が赤く盛り上がると同時に、角質が厚く硬くなって表面にポロポロとふけのような鱗屑りんせつがつき、典型的な場合は銀白色のかさぶた状となります。かゆみを伴い、刺激を受けやすいところ、とくに頭部や背部、腰からお尻、肘や膝、下腿かたいにできやすく、大きさや形はさまざまで地図状になることもあり、病変と正常との境界がはっきりしているのが特徴といえます。爪に症状が出ることもあります。
日本人の乾癬の患者数は40~50万人と考えられており、白人の1/10ともいわれていますが、近年増加傾向にあります。欧米とは違って、男性の発症頻度は女性の約2倍です。遺伝的背景が明らかな場合は20歳未満でも発症しますが、一般的には20歳代~40歳代に発症することが多く、高齢での発症もまれではありません。重要なことは、乾癬という病気は一度発症すると、たとえ治ったように見える時期があったとしても完治するのは極めて困難で、長期にわたって悪化と軽快を繰り返す慢性の病気だということです。
乾癬の病型は大きく分けて5つあり、もっとも一般的な尋常性乾癬の他に、亜型として関節症性乾癬(保険病名はこうなっていますが、リウマチ科・整形外科との学会合意で乾癬性関節炎と呼ぶことになっています)、膿疱性乾癬のうほうせいかんせん、乾癬性紅皮症、滴状乾癬があります。滴状乾癬以外の亜型は一般に重症であり、とくに全身にできるタイプの汎発性膿疱性乾癬と乾癬性紅皮症は、発熱を含む全身症状を伴い、入院加療を考慮すべき状態です。
それぞれの病型は移行することもあれば合併することもあり、突然重症化することもあるので注意が必要です。
引用元:乾癬