《 認定要領 》
眼の障害は、(1)「視力障害」、(2)「視野障害」又は(3)「その他の障害」に区分する。
(1) 視力障害
ア、「 視力の測定」は、「万国式試視力表」又は「それと同一原理によって作成された試視力表」 による。
イ 、試視力表の標準照度は、「200 ルクス」とする。
ウ 、屈折異常(近視、遠視、乱視)のあるものについては、矯正視力により認定する。
矯正視力とは、眼科的に最も適正な常用し得る矯正眼鏡又はコンタクトレンズによって得られた視力をいう。 なお、「眼内レンズ( 白内障の手術で、水晶体摘出後に挿入する人工の水晶体)」を挿入したものについては、挿入後の矯正視力により認定する。
エ、 「両眼の視力」とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和 とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。
オ、「 屈折異常」のあるものであっても次のいずれかに該当するものは、「裸眼視力」により 認定する。
(ア) 矯正が不能のもの
(イ) 矯正により不等像視を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められるもの
(ウ) 矯正に耐えられないもの
カ 、視力が 0.01 に満たないもののうち、「明暗弁のもの( 光を感じる場合 )」又は「手動弁のもの( 眼前に提示した手の動きがわかる場合 )」は視力 0 として 計算し、「指数弁のもの( 眼前で提示した指の数がわかり場合 )」は 0.01 として計算する。
※「視力」とは。
(2) 視野障害
ア 、視野の測定は、ゴールドマン視野計及び自動視野計又はこれらに準ずるものによる。
イ 、ゴールドマン視野計による場合、中心視野についてはⅠ/2 の視標を用い、周辺視野 についてはⅠ/4 の視標を用いる。 なお、それ以外の測定方法による場合は、これに相当する視標を用いることとする。
ウ 、「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が 著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の もの」とは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、次のいずれかに該当 するものをいう。
(ア) Ⅰ/2 の視標で両眼の視野がそれぞれ 5 度以内におさまるもの
(イ) 両眼の視野がそれぞれⅠ/4 の視標で中心 10 度以内におさまるもので、かつ、 Ⅰ/2 の視標で中心 10 度以内の 8 方向の残存視野の角度の合計が 56 度以下のもの この場合、左右別々に 8 方向の視野の角度を求め、いずれか大きい方の合計が 56 度以下のものとする。 なお、ゴールドマン視野計のⅠ/4 の視標での測定が不能の場合は、求心性視野 狭窄の症状を有していれば、同等のものとして認定する。
(注) 求心性視野狭窄は、網膜色素変性症や緑内障等により、視野の周辺部分から 欠損が始まり見えない部分が中心部に向かって進行するものである。 –
エ 、「両眼の視野が 10 度以内のもの」とは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものに ついて、両眼の視野がそれぞれⅠ/4 の視標で中心の残存視野が 10 度以内におさまる ものをいう。 この場合、上記ウ(イ)のⅠ/2 の測定方法により、残存視野の角度の合計のうち、 左右のいずれか大きい方の合計が 57 度以上のものを対象とする。
オ、 「両眼による視野が 2 分の 1 以上欠損したもの」とは、片眼ずつ測定し、それぞれ の視野表を重ね合わせることで、測定した視野の面積が生理的限界の面積の 2 分の 1 以上欠損しているものをいう。 この場合、両眼の高度の不規則性視野狭窄又は半盲性視野欠損等は該当するが、 それぞれの視野が 2 分の 1 以上欠損していても両眼での視野が 2 分の 1 以上の欠損と ならない交叉性半盲等では該当しない場合もある。また、中心暗点のみの場合は、 原則視野障害として認定は行わないが、状態を考慮し認定する。
(注) 不規則性視野狭窄は、網膜剥離、緑内障等により、視野が不規則に狭くなる ものであり、半盲性視野欠損は、脳梗塞等による同名半盲で両眼の視野の左右の いずれか半分が欠損するものである。また、交叉性半盲は、下垂体腫瘍等による 異名半盲で両眼の鼻側又は耳側半分の視野が欠損するものである。
(3) その他の障害
ア 、「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全 に覆い得ない程度のものをいう。
イ 、「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」とは、眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため複視や眼精疲労による頭痛等が生じ、読書等が続けられない程度の ものをいう。
ウ 、「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当する程度のものをいう。
(ア) 「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害 を残すことで作業等が続けられない程度のもの
(イ) 「眼球の運動障害」のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしない と生活ができないため、労働が制限される程度のもの
(ウ) 「瞳孔の障害」のうち、散瞳している状態で瞳孔の対光反射の著しい障害により 羞明(しゅうめい: 強い光を受けた際に、不快感や眼の痛みなどが生じること)を訴え、労働に支障をきたす程度のもの (4) 視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻輳機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを 行う。
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