膠原病:シェーグレン症候群による障害年金の申請ポイントを紹介します

1,膠原病:シェーグレン症候群で障害年金を受給する為の条件

障害年金は、膠原病:シェーグレン症候群によって障害が残り、生活や仕事に支障がある方を支援する公的給付制度です。障害年金を受給する為には、3つの受給要件を満たす必要があります。

(1)初診日要件

初診日要件とは、初診日がいつなのかが証明できることです。

この初診日とは、医師による最初の診察日を指し、場合によっては誤診の日も含まれることがあります。更に、未成年時の傷病や、退職後の60歳から64歳の間に初診日がある場合は、国民年金制度の障害基礎年金の対象となります。

(2)保険料納付要件

初診日の前日を基準に保険料納付要件を満たしていることです。

具体的には、初診日の前日において、前々月までの被保険者期間の3分の2以上が、保険料納付期間(配偶者の扶養期間を含む)、免除期間、または学生納付特例・若年者納付猶予期間であることが必要です。つまり、初診日までの被保険者期間で、3分の1を超える期間の保険料が違法に滞納されていなければ要件を満たします。ただし、令和8年3月31日以前の初診日の場合は、前々月までの1年間に違法な滞納がなければ要件を満たせます。

また、20歳前の傷病による障害の場合は、納付要件を問われることはありません。

特に注意が必要なのは学生時代の保険料納付です。学生であっても保険料を滞納すると、卒業直後の事故等で障害を負った場合に年金が受給できなくなる可能性があるため注意が必要です。

詳しくは「 障害年金をもらうための条件」をご確認下さい。

(3)障害認定日要件

障害認定日以降に障害認定基準以上の障害の程度であることです。この障害の程度によって、給付される障害年金は、障害の程度により1級から3級に分類されます。障害等級1級は日常生活に常時介護が必要な状態、障害等級2級は日常生活が著しい制限を受ける状態、障害等級3級は労働が著しく制限される状態です。

この障害認定日要件についてもっと詳しく解説します。

①膠原病:シェーグレン症候群とは

<概要>

シェーグレン症候群とは、免疫のバランスが崩れることによって涙や唾液を産生する涙腺・唾液腺などの臓器を攻撃し、眼乾燥(ドライアイ)や口腔乾燥(ドライマウス)を主にきたす病気のことです。自己免疫性疾患(免疫の異常によって自分自身を攻撃してしまう病気)の一種であり、涙腺や唾液腺だけでなく全身の関節、肺、皮膚、消化管、腎臓などさまざまな部位にダメージが及ぶこともあります。

シェーグレン症候群を発症すると目や口の乾燥が目立つようになりますが、多くの人は症状とうまく付き合いながら治療の必要なく生活していると考えられています。一方、一部の人には目や口の乾燥以外にもさまざまな症状が現れ、腎臓、肺、皮膚などにも病変が現れたり、まれに悪性リンパ腫の合併が見られたりすることもあります。また、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどほかの自己免疫疾患に合併する二次性シェーグレン症候群もあります。

なお、この病気は中年以降の女性が発症しやすいという特徴がありますが、明確な発症メカニズムは解明されていないのが現状です。

原因

シェーグレン症候群は、免疫のバランスが崩れることにより、涙腺や唾液腺をはじめとする自分自身の臓器にダメージが起こる病気です。どのような原因で免疫の力が過剰にはたらいて涙腺や唾液腺を攻撃するのかはっきりとは分かっていません。

まれですが、シェーグレン症候群の約2%は同一家系内で発症するとのデータもあり、遺伝との関連も指摘されています。そのほか、何らかのウイルス感染、女性ホルモンの変動、たばこなどの環境要因もあり、ひとつの要因だけでなくいくつかの要因が重なり合って発症するものと考えられています。

症状

シェーグレン症候群を発症すると、もっとも多く見られる症状が目や口の乾燥です。これは涙腺や唾液腺がリンパ球という血液細胞に攻撃を受けることで機能が低下し、涙や唾液の分泌が減少するためです。その結果、目の痛みや充血、口臭、虫歯、歯周病などさまざまな症状を引き起こします。

一方、シェーグレン症候群は一部に目や口の乾燥以外の症状が現れることが分かっています。これは、シェーグレン症候群を発症すると、リンパ球や自己抗体(自分の臓器を攻撃するたんぱく質)および過剰に増えた免疫グロブリン(抗体のたんぱく質)が、全身のさまざまな臓器にダメージを与えるからです。これらの症状は多岐に渡り、関節炎・甲状腺炎・間質性肺炎・慢性気管支炎・自己免疫性肝炎・胃炎・間質性腎炎/尿細管性アシドーシス(尿に酸を排泄できなくなり、血液が酸性になること)・皮疹などが挙げられます。

また症状の重症度は人によって大きく異なり、大多数は軽度な目や口の乾燥のみしか見られませんが、全身にさまざまな症状が引き起こされるケースもあります。また、日本では比較的まれですが悪性リンパ腫を合併することがあり、重症度がさまざまなのもシェーグレン症候群の特徴のひとつです。

引用元:medicalnote シェーグレン症候群

昭和の歌姫・八代亜紀さん 生前の膠原病との闘い明らかに

令和5年12月、73年の生涯を閉じられた演歌界の大御所、八代亜紀さんが、生前、膠原病と診断されていたことが明らかになりました。病と向き合いながらも、最後まで美しい歌声で多くのファンを魅了し続けた姿は、今なお多くの人々の心に深く刻まれています。

膠原病は、自己免疫システムが正常な体の組織を誤って攻撃してしまう難病の総称です。八代さんは体調の変化を感じながらも、プロフェッショナルとしての誇りを持ち続け、その気品ある歌声を守り抜かれました。

八代さんの生き様は、同じ病気と戦う多くの方々にとって、今もなお大きな励みとなっています。

③膠原病:シェーグレン症候群の障害認定基準とは?

障害年金は、膠原病:シェーグレン症候群と診断されただけでは受給ができません。膠原病:シェーグレン症候群による日常生活や就労への影響度によって判断されます。特に膠原病にかかわる疾患の場合、症状は個人差が大きく、複数の症状が併存することも多いため、適切な診断書の選択が重要となりますので注意が必要です。

と言うのも障害年金には診断書が「肢体」「呼吸器」「腎疾患」「肝疾患」「循環器疾患」「その他」など8種類の様式があり、主たる症状に応じて障害年金の請求者自身が選択することになります。複数の診断書提出も可能ですが、各々の障害を合わせることで認定される障害等級があがるケースもありますが、何でも合わせれば良い訳ではなく、ある程度の障害の程度が必要です。このある程度の障害の程度についても基準があり、合わせることに意味がない場合もあり得ます。

また、障害年金の請求者ご自身の障害にあった診断書を提出することが必要です。合わない診断書を提出してしまうとそもそも評価されません。

例えば、内臓系の症状で3級相当でも、肢体の診断書で申請すると、内臓の障害は評価対象外となり、不支給となる可能性があります。

それでは具体的に障害認定日要件である膠原病:シェーグレン症候群にかかわる障害認定基準を紹介していきます。障害年金に関してご不明な点があれば、札幌障害年相談センターにお問合せ下さい。

膠原病とリウマチ
1,目の乾燥

「目の乾燥」は、シェーグレン症候群の1つの症状ですが、涙の量が不足したり、涙の質が変わったりすることで発症し、目の表面に傷がつくこともあります。さらに進行すると、視力の低下、痛み、角膜上皮剥離(角膜の乾燥による剥離)などの深刻な症状が現れることもあります。

単純に「目の乾燥」だけをもって「障害年金」を請求できるかは非常に難しいと思われます。

「視力障害」の場合、障害年金の障害認定基準では、①「視力低下」、②「視野制限」、③「その他」を設けています。

(1)視力低下

シェーグレン症候群の症状によって、視力の低下、角膜上皮剥離(かくまくじょうひはくり)が伴う「視力低下」が考えられます。

下記は、①「視力低下」による障害年金の障害等級の目安となっています。

障害等級1級の場合、両眼の視力が(矯正しても)それぞれ0.03以下のもの

障害等級2級の場合、両眼の視力が(矯正しても)それぞれ0.07以下のもの

障害等級3級の場合、両眼の視力が(矯正しても)それぞれ0.1以下に減じたもの

上記の他にも①「視力低下」による障害認定基準がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

(2)「目の乾燥」から頭痛等が発生

「目の乾燥」から頭痛等を発生する場合があり、読書等が続けられない程度になると、障害年金の対象ではありませんが、「障害手当金」の対象となる可能性があります。

2,口の乾燥

「口の乾燥」は、軽度の場合、口内のネバネバ感、ヒリヒリする感覚、う蝕(虫歯)、歯垢の増加、口臭の強化などの症状が現れます。重度になると、さらなる唾液分泌量の減少が引き起こす口腔内の乾燥が進行し、強い口臭、舌のひび割れ摂食障害会話困難、場合によっては不眠症状が生じることもあります。

(1)舌のひび割れ

一般的に「舌のひび割れ」と言ってもイメージができない為、「障害年金」を請求するに当たり、どのような障害が発生し得るのかを確認したい思います。調べると「舌のひび割れ」を放置していると、次のような症状が起こりえるようです。

1) 舌のひび割れにより痛み不快感が生じ、これが食事や会話を困難にし、日常生活に支障をきたすことがあります。

2) 舌の傷から細菌やウイルスの侵入が容易になり、口内炎や口内感染症のリスクが高まり、感染が進行すると炎症や腫れが起こり、不快感が増すことがあります。

3) 痛みや不快感により、辛い食べ物や酸っぱい飲み物、粗い食材の摂取が難しくなり、栄養バランスの偏りによる健康への影響が懸念されます。

4) 舌のひび割れにより細菌や食べ物の残りが蓄積しやすくなり、口臭が発生しやすくなるため、人間関係や自信に影響を及ぼすこともあります。

上記を確認して頂くと、大きな意味で「口の乾燥」の各の障害認定基準がそのまま適用できますので、「シェーグレン症候群」によって「口の乾き」から生じた症状の内、「障害年金」的に特に注意が必要な症状としては、①「摂食障害」、 ②「会話が困難」 、③「感染リスク」で説明をしたいと考えます。

当センターで関与したお客様を見ていると、「舌のひび割れ」があると①~③の症状が必ず生じている訳では無さそうですので、お客様ごとの対応も当然ながら必要となりますのでご留意下さい。

(2)摂食障害

摂食障害」については、「そしゃく・嚥下機能の障害」について障害認定基準があります。

障害等級1級の場合、「そしゃく・嚥下機能の障害」についてはありませんのでご注意下さい。

障害等級2級の場合、、流動食以外は摂取できないもの、経 口的に食物を摂取することができないもの、及び、経口的に食物を摂取することが 極めて困難なもの

障害等級3級の場合、、経口摂取のみでは 十分な栄養摂取ができないためにゾンデ栄養の併用が必要なもの、または、全粥又 は軟菜以外は摂取できない程度のもの

上記の他にも①「摂食障害」による障害認定基準がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

(3)会話が困難

会話が困難」については、「音声又は言語機能の障害」について障害認定基準があります。

障害等級1級の場合、「 音声又は言語機能の障害 」についてはありませんのでご注意下さい。

障害等級2級の場合、、発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないた め、日常会話が誰とも成立しないもの

障害等級3級の場合、、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの

上記の他に②「会話が困難」 による障害認定基準がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

(4)感染リスク

上記シェーグレン症候群の感染リスクが高いという判断の理由だと、「障害年金」的には感染リスクが高いことで直接「障害年金」の対象になる訳ではなく、どちらかと言うと感染したことで、どの程度の障害を負うことになってしまったのかで「障害年金」の対象となるかどうかが決定すると考えた方が良さそうです。

但し、他の疾患によっては個別具体的に判断した結果、「障害年金」の障害の程度と判断されるケースもあるかと思いますので総合的に判断をされるようご留意下さい。

3,全身の関節に症状がある場合

シェーグレン症候群の症状には、関節痛、関節炎、甲状腺炎等肢体障害を引き起こすケースもあるようです。

障害等級1級の場合、両上肢の機能に著しい障害を有するもの。

具体的には「両上肢の用を廃したもの」の意味両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの。 下記のいずれかに該当する程度のもの

  1. (ア)不良肢位で強直しているもの
  2. (イ)関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
  3. (ウ)筋力が著減又は消失しているもの

障害等級2級の場合、関節の用を廃したもの。

具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの。

障害等級3級の場合、一上肢の機能に著しい障害を有するもの。

具体的んは、一上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの。下記のいずれかに該当する程度のもの

  1. (ア)不良肢位で強直しているもの
  2. (イ)関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
  3. (ウ)筋力が著減又は消失しているもの

上記の他にも「肢体障害」 による障害認定基準がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

以上が、シェーグレン症候群の症状についての障害認定基準です。シェーグレン症候群の症状は、他にもありますので随時追加をしていきたい考えております。上記以外の症状を抱えていらっしゃる方で、「私の場合、障害年金に該当するのかしら?」と思われた方はご遠慮なくお問合せ下さい。

膠原病:シェーグレン症候群による障害年金の手続きの流れ

膠原病:シェーグレン症候群による障害年金の手続きの流れ は次の通りです。

  1. 初診日を確認する。※初診日要件
  2. 保険料納付要件を満たしていることを確認する。
  3. 初診日を証明する書類(以下「受診状況等証明書」という)の作成依頼
  4. 診断書の作成依頼
  5. 病歴・就労状況等申立書を作成
  6. その他の必要書類を作成する。
  7. 年金請求書一式を提出する。

詳しくは、障害年金の請求手続きに必要な書類をご覧ください。

《問合せ》は

社会保険労務士法人ファウンダー  / 札幌障害年金相談センター 

受付時間 平日 9:00-20:00(土日祝も対応可)

連絡先 ℡:080-3268-4215 / ℡:011ー748-9885

所在地〒007-0849 北海道札幌市東区北49条東13丁目1番10号

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障害年金とは

 障害年金は、傷病や障害により労働や生活に支障をきたす方への支援制度で、老齢年金と同じ仕組みで運営されています。遠慮せず申請が推奨されます。また、所得保障には傷病手当金や生活保護、失業保険など複数の制度があり、それぞれ条件や手続きが異なります。特に傷病手当金は迅速な支給が特徴で、障害年金の受給までのつなぎ役となります。ただし、各制度は支給調整が行われ、重複支給は避けられます。申請時の注意点やサポートの必要性も重要です。

 障害年金の受給金額は、利用する年金制度と障害等級によって異なります。受給金額を確認するには、自身が利用できる制度と障害等級を把握する必要があります。障害等級は1級が最重度で、日常生活で他人の介助が必要な状態、2級は日常生活が著しく制限される状態、3級は労働に制限がある状態を指します。障害基礎年金は定額です。障害厚生年金は報酬比例で計算され、配偶者加給年金などが加算される場合もあります。申請手続きや認定基準の確認は重要です。

障害年金の請求には、以下の4つの書類が主に必要です。

診断書: 障害内容に応じた8種類があり、詳細な治療経過や生活状況を記載。申請成功の鍵となるため、主治医と協力して作成します。

病歴・就労状況等申立書: 発病から現在までの病状や生活状況を具体的に記載する重要書類。診断書との整合性が求められます。

③受診状況等証明書: 初診時の医療機関が診断書作成機関と異なる場合に必要。取得困難な場合は理由書を提出します。

年金請求書: 基礎年金番号やマイナンバーを用いて提出。申請内容に応じて配偶者情報などを記載します。

これらを整え、慎重に申請を進めましょう。

 障害年金は、老齢年金と同じ公的年金制度の一部で、障害を負った場合に支給される権利です。受給には「初診日」の特定、保険料納付要件、認定日以降の障害状態の3条件が必要です。障害年金には基礎年金、厚生年金、共済年金の3種類があり、障害等級や加入制度によって支給額が異なります。申請には診断書や病歴申立書などの書類が必須で、認定基準に基づいた正確な作成が求められます。初診日や請求方法の選択も重要で、専門家の支援が推奨されます。

 札幌障害年金相談センターでは、正確な障害年金申請を目指し、診断書と病歴・就労状況等申立書の作成を支援しています。診断書は主治医が作成しますが、短い診察時間や患者の生活状況の不十分な把握が問題となることがあります。一方、申立書では感情的な記述や出来事の羅列が障害認定基準に適合しないことが課題です。これらの問題を解決するため、障害認定基準を理解し、必要に応じて書類内容を主治医と相談しながら適切に修正する努力が重要です。

 障害年金は、肢体障害や視覚障害など外見で分かるものだけでなく、多様な傷病が対象です。対象疾患には、白内障や緑内障などの視覚障害、感音性難聴などの聴覚障害、脳卒中や脳梗塞などの脳疾患、統合失調症や発達障害などの精神疾患、心筋梗塞や高血圧症、腎不全や糖尿病性合併症などが含まれます。ただし、症状や傷病名によって対象外となる場合もあります。判断が難しい場合は札幌障害年金相談センターにお気軽にご相談下さい。

 障害年金の申請には診断書が必要ですが、実際の症状より軽く記載されることがあり、申請者から不満の声が寄せられます。その原因として、医師が日常生活の実態を把握できない、申請者が正確に伝えられない、または医師が申請者の立場を考慮していないことが挙げられます。この結果、年金額が減額されたり受給できない場合があります。当センターでは、こうした問題を防ぐため、札幌障害年金相談センターは適切な申請を支援しています。

 障害年金は、日本の2階建て年金制度に基づき、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の3種類に分かれます。障害基礎年金は全員が対象で、1級と2級の等級があり、国民年金加入者に支給されます。厚生年金加入者は障害厚生年金を受け取る権利があり、1~3級の等級が設定されています。共済組合加入者には障害共済年金が適用され、職域年金部分が追加されるのが特徴です。初診日の時点での年金加入状況により、受給対象や申請先が異なります。

 障害年金を受給するには、障害が行政の定める認定基準に適合していることを証明する必要があります。そのため、診断書は最も重要な書類であり、適切な内容が記載されるよう担当医と十分に話し合うことが大切です。特に初診日の特定が困難な場合や過去の初診日で手続きが複雑になるケースでは、専門家に相談することで解決の可能性が高まります。当事務所では診断書のチェックや医師への依頼時のアドバイスを提供しています。

 障害年金を受給するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 初診日要件: 障害の原因となる病気やケガの初診日が年金加入期間内であること。初診日が特定できない場合は受給が難しくなるため重要です。
  2. 保険料納付要件: 初診日の前日までの期間で、3分の2以上が保険料納付または免除期間であること。未納が多いと受給資格を失うため、学生時代の免除申請が推奨されます。
  3. 障害認定日要件: 初診日から1年6か月後または症状が固定した時点で一定の障害状態であることが必要。遅れた請求でも最大5年遡及可能です。

 障害年金の受給可否は、申請書が提出されると行政が「加入要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」を確認することで判断されます。年金事務所や市区町村がまず資格を審査し、その後、日本年金機構の障害年金センターで認定医が障害等級を基準に審査します。審査は書類内容を基に客観的に行われ、3か月程度かかるのが一般的です。支給が決定すると通知が届き、住所や振込先変更時は手続きが必要です。初回支払日は決定日によって異なります。

 障害年金の請求手続きは、以下の流れで進められます。まず、電話やメールで相談予約を行い、面談で病気や生活状況を詳しくヒアリングします。その後、初診日や保険料納付要件を確認し、診断書や病歴・就労状況等申立書など必要書類を作成。診断書の記載内容は医師と確認し、必要に応じて修正依頼を行います。完成した書類を年金事務所に提出し、審査には約3か月かかります。支給決定後、初回振込は40~50日後に行われます。

 障害年金請求では、初診日時点の年金加入状況が重要です。初診日に年金未加入の場合、請求はできません。また、加入していた年金制度により受給できる年金の種類が異なり、国民年金加入者は障害基礎年金(1級または2級対象)、厚生年金加入者は障害厚生年金(1~3級対象)を受給可能です。障害認定日請求では最大5年遡及可能ですが、事後重症請求では請求日以降の受給のみです。適切な手続きが受給額に影響するため、専門家への相談が推奨されます。

 特別障害者手当は、20歳以上で重度の障害があり、日常生活に特別な介護が必要な在宅障害者に支給される手当で、月額26,260円(平成25年時点)です。施設入所や長期入院がなく、所得基準を満たすことが条件です。対象者は複数の重い障害を持つ人や、日常生活に大きな支障がある人が含まれます。申請には、障害者手帳の所持が必須で、書類を市区町村役場に提出します。受給後も現況届や診断書の再提出が必要です。