今回は、胃がんによって障害年金の申請をされている方向けに障害年金を申請する際のポイントを紹介します。ご興味がある方はぜひご覧ください。
Contents
「胃がん」 について
概要
胃がんとは、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜しょうまく下層、漿膜から構成されている胃の壁のもっとも内側にある粘膜の細胞が、何らかの原因によってがん細胞になり、増殖を繰り返すことで発生します。
胃がんは徐々に内側の粘膜から一番外側にある漿膜に向かって増殖していきます。さらに進行して漿膜まで達すると、近くにある膵臓や大腸などの臓器にがんが直接広がるようになります。さらに漿膜から剥がれたがん細胞がおなかの中に散って腹膜の表面に生着することもあります。これを腹膜転移と呼びます。また特殊なタイプの胃がんとして、粘膜の下を這うように広がっていくスキルス胃がんがあります。粘膜の表面にがんが現れにくいため、早期に発見するのが難しく、見つかったときにはかなり進行していることも少なくありません。
近年、食生活の変化や検診の普及、治療の進歩などによって、胃がんで亡くなる方の割合は減ってきていますが、高齢化によって胃がんにかかる方全体の数は横ばいとなっています。
原因
胃がんでは、発症に関わる要因がいくつか指摘されています。喫煙習慣、塩分の取りすぎ、またヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への持続的感染などが、胃がんの発生リスクを高めるとされています。
胃がんとピロリ菌の関連
ピロリ菌は一度感染すると、除菌を行わない限り長期間にわたって胃の中に住み続けます。胃がんの発生とピロリ菌の感染は密接に関係していること分かっており、ピロリ菌の持続感染は胃の粘膜を萎縮させ、胃がんを引き起こしやすい状態をつくりだしていると考えられています。
ピロリ菌に感染している全ての方が胃がんになるわけではありませんが、除菌治療を行うことで、胃がんの発生を低下させることができると指摘されており、近年では除菌治療が積極的に行われています。
症状
胃がんは、がんの小さい早期の段階では症状が現れることは少なく、またかなり大きくなって進行した段階であっても、症状が現れにくいことがあります。
主な症状としては、みぞおちの痛みや不快感、食欲の低下、胸やけ、吐き気などがありますが、これらは胃がん特有の症状というわけではありません。胃炎や胃潰瘍といったほかの病気でも起こることがあるため、検査を行って評価することが必要となります。
そのほか、黒色の便(胃がんからの出血のため)が出たり、体重が減ったりするといった症状から検査を行い、結果的に胃がんと診断されることもあります。
引用元:medicalnote 胃がん
「胃がん」で障害年金を受給する為の要件
(1)初診日要件
「胃がん」で障害年金を受給する為には、国民年金、厚生年金、共済年金へ加入していた期間中に医師や歯科医師に診察してもらっていることが必要です。
・この診察を初めて受けた日を「初診日」といいます。誤診を受けた日や結果原因不明で終わった日であったとしても初診日とみなされることもありますのでご注意ください。
・なお、未成年の頃からの傷病により障害の状態になった場合や、国民年金に加入したことのある人で、60歳から64歳までの間に初診日のある傷病により障害の状態になった場合は、障害基礎年金の対象となります。
(2)保険料納付要件
この保険料納付要件が満たしていないと、障害年金を受給することはできませんので大変重要な要件です。
この「保険料納付要件」を満たしているかどうかを判断する為には、上記(1)初診日がないと判断ができません。ですので、まずは「初診日」を確認をしてから「保険料納付要件」を確認するようにして下さい。
「保険料納付要件」とは、初診日の前日に、その初診日のある月の、前々月までの期間の3分の2以上が、次のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。
・保険料を納めた期間(会社員や公務員の配偶者だった期間も含む)
・保険料を免除されていた期間
・学生納付特例又は若年者納付猶予の対象期間
簡単にいうと、初診日までの被保険者であった期間のうち、3分の1を超える期間の保険料が違法に滞納されていなければ大丈夫です。
実際に保険料を納めていた期間だけでなく、正式に保険料が免除されていた期間も、納めていたものとして扱われます。
また、上記の要件を満たしていなくても、令和8年3月31日以前に初診日がある場合は、初診日の前日に、その前々月までの1年間に保険料の違法な滞納がなければ要件を満たすことができます。
なお、20歳前に発達障害の初診日がある場合は、この保険料納付要件を不要となりますのでご安心下さい。
(3)障害認定日要件
「胃がん」で障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日以降に「胃がん」の病状が一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
・「障害認定日」とは、初診日から1年6か月が経過した日か、1年6か月が経過する前に症状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日のことです。
では「一定以上の障害状態」とはどのような状態をいうのでしょうか?
この「一定以上の障害状態」について日本年金機構は、「障害認定基準」として一部を開示していますので紹介します。
「胃がん」の障害認定基準
胃がんの症状としては、初期段階では腹痛、腹部不快感、食欲低下、吐き気、嘔吐、胸やけ等ですが、がんが進行すると、腹痛や不快感などを訴える人は増え、吐血や黒色便などの出血症状、全身倦怠感等の症状が現れます。
胃がんによって衰弱または障害の為、下記の状態であることが障害認定基準となっています。
区分 | 一 般 状 態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能とな ったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。
障害の程度 | 障害の状態 |
障害等級1級 | 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの |
障害等級2級 | 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
障害等級3級 | 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
胃がんによる障害の程度の認定例は、上記のとおりですが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えないで、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定されることになります。
障害年金を申請のポイントとしては、日常生活状況等については主治医にしっかりお伝えることです。
例えば、主治医から「自宅のお掃除はできていますか?」と聞かれた際には、「できている」と回答するのではなく、「以前だったら午前で掃除や洗濯を終わらせていましたが、今は休み休み朝から夕方までかけてやっています」等と特に「一般状態」が「イ」なるのか「ウ」なるのか判断しづらい状況があり得るので日常の状況がイメージしやすいようにお伝えるすることです。
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