多発性嚢胞腎とは

腎臓に嚢胞という袋が、いくつもできてしまう病気です。

「常染色体体優性多発嚢胞腎(ADPKD)」と「常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)」の、大きく2つに分類されます。

常染色体の名の通り、遺伝性の病気で男女問わず50%の確率で遺伝されると言われています。ですが、両親がADPKDでなくても、遺伝子の突然変異によって発症することもあります。

※かつての調査で、国内のADPKDの患者は31,000人とされており、現在はもっと多いと推測されています。

症状と治療・お薬

嚢胞のできる時期については個人差がありますが、症状が出始めるのは嚢胞が大きくなってからです。

早期に自覚症状がなく、発見されるのが40歳くらいになってからが多い。

人によっては、腹痛や腰背部痛(ようはいぶつう)、腹部膨満感、肉眼的血尿などの症状ができることもあります。

進行して嚢胞が大きくなってくると、腎臓の機能は次第に低下。約半数の症例で60歳までに人工透析が必要となるといわれています。

また、病状が進行して、嚢胞が胃腸を圧迫するほど大きくなってしまうことがあります。このような場合、「じん臓摘出手術」や、腎臓への血流を遮断する「じん臓脈塞栓術」、嚢胞の中にある液体を体外に出す「嚢胞ドレナージ」といった治療が検討されます。ただし、この場合、既に腎機能が低下し、末期腎不全の状態となっていて透析が始めていることが前提です。

治療では、嚢胞を大きくする働きがある「バソプレシン」というホルモンを抑える「トルバプタン」という薬を適応条件を満たすと使われます。※副作用として「尿量を増やす」ので、脱水症状を防ぐ為、専門医の指導のもと、しっかりと水分補給する必要があります。