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ベーチェット病と障害年金について理解しよう
ベーチェット病 とは?
ベーチェット病とは、全身のさまざまな部位に炎症が繰り返し生じることが特徴的な病気です。免疫のはたらきが過剰になって自身の体の組織を攻撃してしまう“膠原病”の一種と考えられていますが、現時点で明確な発症メカニズムは解明されていません(2020年10月時点)。ベーチェット病の症状の現れ方には大きな個人差がありますが、主な4つの症状は口腔内のアフタ性潰瘍・外陰部の潰瘍・皮疹などの皮膚症状・ぶどう膜炎(目の炎症)とされています。このような症状がよくなったり悪くなったりしながら繰り返し現れるのがベーチェット病の特徴ですが、重症の場合には内臓や神経、血管などにも炎症をもたらし、ときには命に関わることも多々あります。また、治療は炎症を免疫のはたらきを抑えるステロイドの投与が行われますが、それぞれの症状を緩和する治療も同時に行わなければならないため、治療に難渋することも少なくありません。また、重症の場合は免疫抑制剤を使用しなければならないケースも多く、さまざまな副作用に注意する必要があります。
ベーチェット病 /medicalnote
ベーチェット病だと障害年金が受給できる?どのように手続きを進めたら良い?
障害年金制度においてベーチェット病は、対象疾患に含まれていますが、単にこの病気に罹患しているという事実や、難病指定を受けているという理由だけでは、障害年金を受けることはできません。
たとえ難病であっても、症状が比較的軽く日常生活への支障が少ない場合は障害年金の対象外となる可能性があります。また、障害年金を受給するための基本的な条件を満たしていない場合、申請自体を行うことができないことにご注意下さい。
障害年金の3つ受給要件
障害年金の受給資格には、以下の3つの受給要件を満たす必要があります。
第一に、「初診日」の要件があります。これは、ベーチェット病について医師等に初めての診察を受けた日の確認が必要とす。この初診日にどの年金制度(国民年金または厚生年金)に加入していたか、また次の要件である保険料納付要件を確認する為に必要な要件となっています。
第二に、「年金保険料納付」の要件があります。一定基準を上回る保険料納付実績が必要となります。
第三に、「障害の程度」に関する条件があります。厚生労働省が規定する障害等級の基準に該当する状態であることが求められます。
障害年金の申請手続きを開始する際は、まず「初診日」の特定が重要です。
具体例を挙げますと、全身の倦怠感を主訴として内科を受診し、その後にベーチェット病との確定診断に至ったケースでは、最初の内科受診日が初診日として認定される可能性が高いでしょう。
このような場合、その内科医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼することになります。この証明書は、初診日を公的に証明する重要な書類となります。
障害年金の2つの請求の仕方
初診日から1年6か月が経過した時点(これを障害認定日と呼びます)における医師の診断書を入手できる場合、障害認定日請求という形で年金申請を行うことが可能です。
一方、障害認定日からすでに1年以上が経過している場合は、現時点での診断書を取得して事後重症請求を行うことができます。
【障害認定日請求について】
これは、障害認定日における状態を証明する診断書に基づいて行う請求方式です。
なお、障害認定日とは以下の2つの日付のうち、より早い方を指します。
・初診日から1年6か月が経過した日
・症状が治癒または固定した日(治療効果が期待できない状態となった日を含みます)
【事後重症請求について】
障害認定日の時点では障害等級の基準を満たしていなかった場合でも、その後症状が悪化して障害等級に該当する状態となった場合、65歳の誕生日前日までであれば年金請求を行うことができます。
ベーチェット病は、以下の4つの主要症状を特徴とする慢性的な全身性炎症疾患です
・口腔粘膜のアフタ性潰瘍
・外陰部潰瘍
・皮膚症状
・眼症状
この疾患は患者さんによって症状の現れ方が異なります。
具体的な症状の状態が不明なため一般的な例を挙げますと、視力低下などの眼症状が顕著な場合は眼科医による「眼の障害用診断書」を、関節炎による著しい筋力低下がある場合は「肢体の障害用診断書」を作成していただく必要があります。
これらの診断書と必要書類一式を年金事務所に提出すると審査が行われ、定められた認定基準を満たしていると判断された場合に障害年金の給付が決定されます。
ベーチェット病の障害認定基準を紹介(一部)
(1)視力障害の認定基準
- 1級…両眼の視力の和が0.04以下のもの
- 2級…両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
- 3級…両眼の視力が0.1以下に減じたもの、または、障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 障害手当金…両眼の視力が0.6以下に減じたもの、または、一眼の視力が0.1以下に減じたもの
※屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定する。
※両眼の視力とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。
(2)両下肢の機能障害の認定基準
- 1級…両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの
- 2級…両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの、例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 3級…両下肢に機能障害を残すもの、例えば、両下肢の3大関節中それぞれ一関節の筋力が半減しているもの
(3)一下肢の機能障害の認定基準
- 2級…一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
- 3級…一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの、例えば、起床から就寝まで固定装具を必要とする程度の動揺関節をいう
ただし、疼痛については、以下のように取り扱われます。
(4)疼痛について
疼痛は、原則として認定の対象となりません。
ただし、次の1〜4等の場合は、発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚所見等により、以下の通りに取り扱います。
- 四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛
- 脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛
- 根性疼痛
- 悪性新生物に随伴する疼痛等
- 3級…軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの
- 障害手当金…一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
障害年金の受給までの流れ
上記で記した受給要件も振り返りながら、障害年金の手続きの流れを説明します。 (1)年金請求に必要な書類の準備
お住まいの地域を管轄する年金事務所から必要な申請書類を入手します。これらの書類には、申請者の個人情報や医師の診断書などを添付する必要があります。すべての項目を正確に記入し、必要な証明書類を漏れなく添付することが求められます。
(2)申請に必要な診断書
障害年金の申請の第一段階として、医師による診断書の取得が必要です。この診断書には、ベーチェット病の診断結果に加え、具体的な症状や日常生活における制限について出来るだけ詳細に記載をして貰うようにして下さい。
(3)審査プロセス
申請書類の提出後、年金事務所による審査が開始されます。提出された書類の確認に加え、場合によっては追加の医学的検査や専門家による評価が実施されることもあります。これらの審査結果に基づいて、年金支給の可否が決定されます。
ベーチェット病による障害年金の請求事例
若年性突発性関節炎・ベーチェット病による障害年金請求事例
Aさんが札幌障害年金相談センターを訪れたのは、全身の関節に激痛が走り、日常生活にも支障をきたしている状況でした。中学生の頃から朝の起床時に関節のこわばりを感じ始め、整形外科で「若年性突発性関節炎」と診断されたものの、処方された内服薬では症状が改善されませんでした。
そして約5年後、さらに深刻な状況が追い打ちをかけることになります。腹痛や下痢、下血などの消化器症状が現れ、新たに「ベーチェット病」との診断も受けることとなったのです。
現在では、関節と腹部の痛みが激しく、足首の腫れにより靴を履くことすら困難な状態です。そのため、長時間の歩行は不可能であり、時にはベッドから起き上がることもできない日々を送っていました。
私たちは、Aさんが遠方にお住まいであることを考慮し、主に郵送でのやり取りを通じて支援を進めてまいりました。その過程で、年金事務所からの要請に応じて、肢体の障害用診断書を含む複数の診断書を提出し、Aさんの日常生活における困難さを詳細に説明させていただきました。
そうして、裁定請求から約8か月後、障害基礎年金2級の受給が決定されました。これにより、次回の更新月までに約201万円(年間受給額約78万円)の受給が認められることとなり、私どもとしても心からの安堵を覚えた次第です。
《問合せ》は
●「電話:080-3268-4215 」 又は 「こちらのフォーム(メール)」でお申込み下さい。
社会保険労務士法人ファウンダー / 札幌障害年金相談センター
受付時間 平日 9:00-20:00(土日祝も対応可)
連絡先 ℡:080-3268-4215 / ℡:011ー748-9885
所在地〒007-0849 北海道札幌市東区北49条東13丁目1番10号
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障害年金は、傷病や障害により労働や生活に支障をきたす方への支援制度で、老齢年金と同じ仕組みで運営されています。遠慮せず申請が推奨されます。また、所得保障には傷病手当金や生活保護、失業保険など複数の制度があり、それぞれ条件や手続きが異なります。特に傷病手当金は迅速な支給が特徴で、障害年金の受給までのつなぎ役となります。ただし、各制度は支給調整が行われ、重複支給は避けられます。申請時の注意点やサポートの必要性も重要です。
障害年金の受給金額は、利用する年金制度と障害等級によって異なります。受給金額を確認するには、自身が利用できる制度と障害等級を把握する必要があります。障害等級は1級が最重度で、日常生活で他人の介助が必要な状態、2級は日常生活が著しく制限される状態、3級は労働に制限がある状態を指します。障害基礎年金は定額です。障害厚生年金は報酬比例で計算され、配偶者加給年金などが加算される場合もあります。申請手続きや認定基準の確認は重要です。
障害年金の請求には、以下の4つの書類が主に必要です。
①診断書: 障害内容に応じた8種類があり、詳細な治療経過や生活状況を記載。申請成功の鍵となるため、主治医と協力して作成します。
②病歴・就労状況等申立書: 発病から現在までの病状や生活状況を具体的に記載する重要書類。診断書との整合性が求められます。
③受診状況等証明書: 初診時の医療機関が診断書作成機関と異なる場合に必要。取得困難な場合は理由書を提出します。
④年金請求書: 基礎年金番号やマイナンバーを用いて提出。申請内容に応じて配偶者情報などを記載します。
これらを整え、慎重に申請を進めましょう。
障害年金は、老齢年金と同じ公的年金制度の一部で、障害を負った場合に支給される権利です。受給には「初診日」の特定、保険料納付要件、認定日以降の障害状態の3条件が必要です。障害年金には基礎年金、厚生年金、共済年金の3種類があり、障害等級や加入制度によって支給額が異なります。申請には診断書や病歴申立書などの書類が必須で、認定基準に基づいた正確な作成が求められます。初診日や請求方法の選択も重要で、専門家の支援が推奨されます。
札幌障害年金相談センターでは、正確な障害年金申請を目指し、診断書と病歴・就労状況等申立書の作成を支援しています。診断書は主治医が作成しますが、短い診察時間や患者の生活状況の不十分な把握が問題となることがあります。一方、申立書では感情的な記述や出来事の羅列が障害認定基準に適合しないことが課題です。これらの問題を解決するため、障害認定基準を理解し、必要に応じて書類内容を主治医と相談しながら適切に修正する努力が重要です。
障害年金は、肢体障害や視覚障害など外見で分かるものだけでなく、多様な傷病が対象です。対象疾患には、白内障や緑内障などの視覚障害、感音性難聴などの聴覚障害、脳卒中や脳梗塞などの脳疾患、統合失調症や発達障害などの精神疾患、心筋梗塞や高血圧症、腎不全や糖尿病性合併症などが含まれます。ただし、症状や傷病名によって対象外となる場合もあります。判断が難しい場合は札幌障害年金相談センターにお気軽にご相談下さい。
障害年金の申請には診断書が必要ですが、実際の症状より軽く記載されることがあり、申請者から不満の声が寄せられます。その原因として、医師が日常生活の実態を把握できない、申請者が正確に伝えられない、または医師が申請者の立場を考慮していないことが挙げられます。この結果、年金額が減額されたり受給できない場合があります。当センターでは、こうした問題を防ぐため、札幌障害年金相談センターは適切な申請を支援しています。
障害年金は、日本の2階建て年金制度に基づき、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の3種類に分かれます。障害基礎年金は全員が対象で、1級と2級の等級があり、国民年金加入者に支給されます。厚生年金加入者は障害厚生年金を受け取る権利があり、1~3級の等級が設定されています。共済組合加入者には障害共済年金が適用され、職域年金部分が追加されるのが特徴です。初診日の時点での年金加入状況により、受給対象や申請先が異なります。
障害年金を受給するには、障害が行政の定める認定基準に適合していることを証明する必要があります。そのため、診断書は最も重要な書類であり、適切な内容が記載されるよう担当医と十分に話し合うことが大切です。特に初診日の特定が困難な場合や過去の初診日で手続きが複雑になるケースでは、専門家に相談することで解決の可能性が高まります。当事務所では診断書のチェックや医師への依頼時のアドバイスを提供しています。
障害年金を受給するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 初診日要件: 障害の原因となる病気やケガの初診日が年金加入期間内であること。初診日が特定できない場合は受給が難しくなるため重要です。
- 保険料納付要件: 初診日の前日までの期間で、3分の2以上が保険料納付または免除期間であること。未納が多いと受給資格を失うため、学生時代の免除申請が推奨されます。
- 障害認定日要件: 初診日から1年6か月後または症状が固定した時点で一定の障害状態であることが必要。遅れた請求でも最大5年遡及可能です。
障害年金の受給可否は、申請書が提出されると行政が「加入要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」を確認することで判断されます。年金事務所や市区町村がまず資格を審査し、その後、日本年金機構の障害年金センターで認定医が障害等級を基準に審査します。審査は書類内容を基に客観的に行われ、3か月程度かかるのが一般的です。支給が決定すると通知が届き、住所や振込先変更時は手続きが必要です。初回支払日は決定日によって異なります。
障害年金の請求手続きは、以下の流れで進められます。まず、電話やメールで相談予約を行い、面談で病気や生活状況を詳しくヒアリングします。その後、初診日や保険料納付要件を確認し、診断書や病歴・就労状況等申立書など必要書類を作成。診断書の記載内容は医師と確認し、必要に応じて修正依頼を行います。完成した書類を年金事務所に提出し、審査には約3か月かかります。支給決定後、初回振込は40~50日後に行われます。
障害年金請求では、初診日時点の年金加入状況が重要です。初診日に年金未加入の場合、請求はできません。また、加入していた年金制度により受給できる年金の種類が異なり、国民年金加入者は障害基礎年金(1級または2級対象)、厚生年金加入者は障害厚生年金(1~3級対象)を受給可能です。障害認定日請求では最大5年遡及可能ですが、事後重症請求では請求日以降の受給のみです。適切な手続きが受給額に影響するため、専門家への相談が推奨されます。
特別障害者手当は、20歳以上で重度の障害があり、日常生活に特別な介護が必要な在宅障害者に支給される手当で、月額26,260円(平成25年時点)です。施設入所や長期入院がなく、所得基準を満たすことが条件です。対象者は複数の重い障害を持つ人や、日常生活に大きな支障がある人が含まれます。申請には、障害者手帳の所持が必須で、書類を市区町村役場に提出します。受給後も現況届や診断書の再提出が必要です。