【1】併給の調整とは

2年前に事故で左足を失い、2級の障害基礎年金を受給していますが、再び事故にあい、今度は右足が麻痺してしまいました。受給している障害基礎年金のほかに、新たな障害基礎年金は受けられますか。

障害基礎年金の受給権者が、他の傷病が原因で新たな障害の状態になった場合、その障害についても障害基礎年金が受けられるようなケースも生じますが、国民年金では、同一の者が2つ以上の年金を受ける権利を取得したときは、原則として、その者の選択により、いずれか1つを支給し、他のものは支給停止されることになっています。しかし、被保険者期間中に前後して障害を受けたとき、たとえばはじめに左足を失い、後に右足を失ったとき、全体として見れば両下肢を失ったことになり、1級相当の障害状態にあるのに、それぞれの障害について別々に2級の障害認定をし、前述のように、その者の選択により一方のみを支給するのでは不合理であるということから、次のような措置が講じられています。すなわち、前後の障害を併合した障害状態に相当する等級の障害基礎年金を支給する必要があるので、後に発生した障害の障害認定日に、前後の障害を併せて障害の状態を認定(このような場合の認定を「併合(加重)認定」といいます。認定の基準については91頁の併合認定を参照)し、以後、新たな等級の障害基礎年金が支給されることになっています。他方、それまで支給されていた障害基礎年金を受ける権利は消滅します。あなたの場合は、新たな障害の障害認定日に、現在支給されている2級の障害基礎年金の原因となった左足の喪失という障害と、右足の麻痺という障害を併せて障害の程度を認定し、「両下肢の用を全く廃したもの」として1級の障害基礎年金が支給されます。

*年金事務所で併合後の1級の年金の裁定および前発障害の年金の失権処理が行われます。(障害給付Q&Aより)