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複数の肢体の疾病がある場合の障害年金の申請ポイント
お一人に複数の疾病が発症する例を多くみかけます。ただお一人の身に複数の疾病が覆いかぶさっているので、計り知れない思いで日々を過ごされていると思います。この場合、複数の疾病がある場合の障害年金の考え方を知っていると、いざ障害年金の手続きをする際には大事なポイントになります。相談事例に基づいて紹介します。
ご相談:複数の肢体の疾病がある場合
はじめまして。この度、障害年金の申請についてご相談させていただきたく存じます。
現在、脊椎関節炎、線維筋痛症、股関節の制限、へバーデン結節、骨粗鬆症など、複数の症状により、日常生活に大きな支障をきたしております。身の回りのことは家族のサポートに頼らざるを得ない状況です。
このような状況を受け、主治医からも障害年金の申請を勧められており、来月に診断書を作成していただける予定となっております。
初めての申請となりますので、手続きの進め方など、社労士の先生にサポートしていただけますと大変ありがたく存じます。
ご検討いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご回答
ご連絡大変にありがとうございます。喜んでお手伝いをさせて頂きます。
つきまして現在抱えていらっしゃる症状を教えて頂きましたが、私になりに調べてみました。
というのも、教えて頂いた5個の傷病間で因果関係の有無で、一つの障害として捉えるのか、別々のものと捉えるかと申請の際に違い(特に障害等級に影響する場合もある)があるからです。
1, 脊椎(せきつい)関節炎と線維筋痛症
脊椎関節炎(spondyloarthritis;SpA)と線維筋痛症(fibromyalgia syndrome;FM)はいずれも全身の広範囲の疼痛と付着部の疼痛(とうつう),圧痛(あっつう)など類似の症状を呈するためその鑑別が困難であるとともに,しばしば脊椎関節炎(SpA)に線維筋痛症(FM)が随伴し疼痛症状を増強する。ただ両者は臨床所見は類似するものの治療法はまったく異なっており,治療の面からも脊椎関節炎(SpA)と線維筋痛症(FM)の鑑別および脊椎関節炎(SpA)に随伴したFMの診断は重要である。
特集:強直性脊椎炎・乾癬性関節炎とその周辺疾患 脊椎関節炎と線維筋痛症の関連性
障害年金としては、因果関係の有無は重要です。障害等級に影響する可能性があるからです。その意味では、脊椎関節炎に随伴して線維筋痛症が発症しているケースもあるようですので、主治医にそのあたりをご確認頂けないでしょうか。
2,脊椎関節炎と股関節の制限
脊椎関節炎、特に強直性脊椎炎では股関節に痛みが生じることがあるようです。
多くの患者で、腰痛や殿部痛から始まりますが、痛みは次第に、背中全体や頚部まで広がることがあります。また、肩や股関節、膝関節など四肢の大きい関節に痛みが生じることもあります。
強直性脊椎炎(指定難病271)
上記1と同様で、障害年金としては、因果関係の有無は重要です。障害等級に影響する可能性があるからです。その意味では、脊椎関節炎と「股関節の制限される理由」とで医学的に因果関係があるかどうかを、主治医にご確認頂けないでしょうか。
3,脊椎関節炎と骨粗鬆症
脊椎関節炎などの炎症性疾患では、炎症や治療に使用されるステロイド薬によって骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があるそうです。
ステロイドの服用による骨強度の低下は必発であり、ステロイド性骨粗鬆症といわれます。また、ステロイド性骨粗鬆症は、骨密度が保たれていても、もともとの骨折がなくても原発性骨粗鬆症に比べて骨折しやすくなります。
ステロイド性骨粗鬆症とは?
上記1、2と同様で、障害年金としては、因果関係の有無は重要です。障害等級に影響する可能性があるからです。診断書を作成して頂く際に明記して頂けるものかを確認したい為、脊椎関節炎と骨粗しょう症とで医学的に因果関係があるかどうかを、主治医にご確認頂けないでしょうか。
4, へバーデン結節 とその他疾患
原因は不明ですが、40代以降の女性に多く発症しています。手を良く使う人は発症しやすいようです。遺伝性も不明ですが、血縁者にヘバーデン結節にかかった方がいる場合は、体質が似ていることを鑑み、指先に負担をかけないよう過ごしましょう。
へバーデン結節
上記のようにへバーデン結節は、原因が不明である為、 脊椎関節炎、線維筋痛症、股関節の制限、骨粗鬆症との因果関係の有無が分からないのかもしれませんが、主治医にへバーデン結節とその他の疾患との因果関係をご確認頂けないでしょうか。宜しくお願いします。
まとめ
複数の疾患を抱えている場合は、相互の疾患で医学的に因果関係の有無を確認して、手続きを進めるようにして下さい。
因みに、少なくとも「障害年金制度上の因果関係」とは、前の疾病又は負傷(A疾病・負傷)がなければ後の疾病(通常は負傷は含まれない:B疾病)が起こらなかったであろうと認められる場合を言います。
因果関係が認められる場合は、「A疾病・負傷」と「B疾病」は、同一の傷病と取り扱われることになります。
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